“発酵の聖地”で出会う伝統の健康食
「糀屋吉右衛門」で塩こうじ作り
健康意識の高まりを受け、改めて注目を集める発酵食品。滋賀県は、味噌や酒、郷土料理のふなずしなどに代表される発酵文化が古くから根付く“発酵の聖地”です。家庭でも糀専門店で糀を手に入れ、自家製の味噌を作る習慣が当たり前にありました。
創業180年の「糀屋吉右衛門」は、江戸時代から続く製法で糀を作る老舗です。天保年間から受け継がれる糀蓋(糀を作る木箱)と近江米にこだわって作られる米糀は地元で愛され続けています。
4代目山﨑豊彦さんと妻の冨美子さん。発酵教室のほかに、毎年好評な味噌作り教室や、イースト菌の代わりに糀を使ったパン教室も行っている。糀屋吉右衛門の発酵教室では、伝統的な方法で作られた糀を使った塩こうじ作りと、塩こうじを生かしたドレッシング作り、玉ねぎこうじ作りを体験することができます。様々な発酵食品に精通する冨美子さんから、糀の製法についてや「そもそも発酵とは?」「なぜ体を整えてくれるの?」といった、目からうろこが落ちる話を聞けば、奥深い発酵文化への興味が膨らみます。
5代目吉輝さん(左)と二人三脚の糀作り。蒸し上がった米を攪拌して熱を取り、種糀をふりかけ、混ぜ合わせていく。その後、温度と湿度を調整しながら、全体で丸2日に及ぶ発酵の工程へ。熟練の技と経験が味わい深く華やかな香りの糀を生み出す。もちろん、体験で作った塩こうじは持ち帰ることができます。冨美子さんによれば、“塩の代わりに使う”ことが活用のポイント。和洋中を問わず様々な料理を味わい深くし、栄養の吸収を助けたり腸内細菌を活性化させたりと嬉しい効果をもたらします。冨美子さん直伝、糀の作り手ならではのおすすめレシピもおみやげのひとつです。
糀屋吉右衛門自慢の逸品。上品な甘みの甘酒や糀をたっぷりと使った味噌のほか、店舗限定の白味噌アイス(右下)もおすすめ。塩こうじや醤油こうじはチューブ型容器にリニューアルし、より日常に使いやすくなった。〈右上から時計回りに〉「醬油こうじ」180g 454円、「白味噌アイス」250円、「甘酒」100ml×3袋入り 324円、「米こうじ味噌」800g 810円、「玄米糀パウダー」100g 432円、「糀パウダー」100g 378円、「黒大豆味噌」400g 486円、「塩こうじ」180g 454円。彦根の城下町でこだわりの近江牛を味わう
「せんなり亭 心華房」
美しさと実戦的な意匠が融合する井伊家の名城・彦根城。天守は国宝に指定され、彦根市のランドマークとして親しまれています。
城の周辺には庭園や博物館などが集まり、和菓子店や雑貨店が軒を連ねる「夢京橋キャッスルロード」は、城下町の風情が再現された街歩きも楽しいエリア。歴史のロマンを辿る散策で立ち寄りたいのが、近江牛専門店が営む鉄板焼きのレストラン「せんなり亭 心華房」です。
壁を彩る組子細工が美しい店内は、厨房をぐるりと囲むカウンター席と個室が3部屋。鉄板を目の前にしたカウンター席では、近江牛がライブ感たっぷりに焼き上げられる。徳川御三家にも献上されていたという近江牛は、「桜田門外の変は、井伊直弼が徳川斉昭に近江牛を贈らなかったから起きた」という逸話が生まれるほど人々を魅了してきました。
ロースステーキをメインに、近江牛とろ刺し身や季節替わりの肉料理を味わえる「ランチ会席 華楓(かえで)」7700円。せんなり亭 心華房では、肉の生産現場からこだわり、県内有数の近江牛生産地・大中に持つ自社農場で、未経産の牝牛をじっくり時間をかけて肥育しています。肉のおいしさをダイレクトに感じられるステーキや肉ずしのほか、自家製のコンビーフや生ハムなどシャルキュトリのメニューも充実。さらに、店内のワインセラーには50種類ほどのワインを常備し、ソムリエによるペアリングも魅力です。
将軍家をも魅了した、近江牛づくしの贅沢なひとときを味わってみてはいかがでしょうか。
絶景のレイクビューと地産の味に癒される
「びわ湖大津プリンスホテル」
琵琶湖に向かって建つ半円型の建物は丹下健三による設計。琵琶湖の形を模したプールは全長90m、最大幅23mのスケールで、夏季には泳ぐことができるほか、冬季にはイルミネーションなどが楽しめる。「びわ湖大津プリンスホテル」は、雄大な琵琶湖を見渡す特等席。滋賀県内の宿泊施設の中で最も高い建築物で、全室から絶景のレイクビューを望むことができます。
客室「EIZANフロア ツイン」。1室2名利用で1泊3万1876円~(税・サービス料込み)。※宿泊料金は稼働状況により変動します。33階から35階の「EIZANフロア」の客室は、窓の外に広がる比叡山の山並みをイメージした、グリーンとブラウンが基調の落ち着いた空間。窓際にはゆったりとくつろげるデイベッドを備え、高層階ならではの景色を堪能できます。
「滋賀の春色ディナーブッフェ」は大人1名6160円。「レイクビューダイニング ビオナ」のメニューは2~3か月で入れ替わり、季節ごとに異なる滋賀の魅力を発見できる。36階から最上階の38階はそれぞれ日本料理、ブッフェ、フランス料理のレストラン。ブッフェスタイルで人気の「レイクビューダイニング ビオナ」は、「地産地消」をコンセプトに、地元の食材や調味料を使った料理を特徴としています。
4月までは「滋賀の春色ディナーブッフェ」と題した華やかなメニューが登場。「真鯛とあさりのアクアパッツア 琵琶湖産しじみソース」や「近江鶏のオランデーズソース」、郷土料理の鯖そうめんなど、滋賀ならではの味覚を心ゆくまで楽しみましょう。
スポーツ栄養学の専門家とのコラボレーション企画も行っており、おいしくて健康的なメニューは心身をリフレッシュする滞在にもってこいです。※コラボレーション企画は除外期間あり。
行楽気分が高まるこれからの季節。景色に憩い、伝統に触れ、自然の恵みを味わう……五感を刺激する旅へと出かけてみてはいかがでしょうか。唯一無二の体験が滋賀の知られざる魅力に気づかせてくれるはずです。