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パリの「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」が、“旅する学校”として東京で講座を開催しました

2023.03.15

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年齢も性別も、国境も超えて。宝飾文化のすべてを広く世界に伝える、世界で唯一の学校

パリに本校をもつ「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」が、2023年2月24日~3月10日に、東京都港区にある京都芸術大学 外苑キャンパスにて特別講座を開催しました。初代学長と2代目学長が共に来日し、世界中の人々にジュエリー文化を伝える意義について語ってくれました。
レコールは、フランスのグランサンク(5大宝飾店)の1つに名を連ねるヴァン クリーフ&アーペルの支援により2012年に創設された、ジュエリーと宝飾芸術の学校です。

パリのヴァンドーム広場の一角に常設校を構え、専門家による講義や実技プログラムのほか、様々なエキシビションやセミナーなどを通して、ジュエリーにまつわる知見を伝えることを目的としています。

レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校

ジュエリー文化を広く伝えたい――年齢も、性別も、国境も超えて



創設以来11年間、レコールを率いてきた初代学長 マリー・ヴァラネ-デロムさんは言います。

「私たちの目的は “原石の世界”、“ジュエリーの芸術史”、“サヴォアフェール 〈匠の技〉”を軸に、多岐にわたる宝飾文化を広く伝えていくこと。それには様々な道があり、講義や実技もあれば出版物もあります。

展覧会形式のエキシビションの開催に加え、子供向けのプログラムも用意しています。さらに今回日本で開催したようにパリから世界各国へと場所を移したノマド(遊牧民。転じて「移動」という意味で使用)スクール、旅する学校にも力を入れているのです」

レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校今回の「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」日本特別講座は京都芸術大学 外苑キャンパスで開催されました。

レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校会場の内装は日本を代表する建築家・藤本壮介氏によるもの。レコールが掲げるサステナブルな理念に基づいて、再生可能な木材が使用されました。

ジュエリーへの好奇心をもつ誰もがアクセスでき、新しい知識を得ることでさらに興味を膨らませていく場所。その発展にこの11年間、人生を捧げてきたマリーさん。今回を含めて過去に3回、日本でレコールを開催してきました。

レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校

「日本で初めて講義を行ったとき、受講者の皆さんが学びに対してとても情熱的なことに驚きました。職人技への共感も高く、皆さんと交流していく中で、教える側の私たちにも多くの学びや驚きがあったのです。今回の講義の中に漆芸についてのコースがありますが、日本ならではの工芸文化の講座も、こうした学びの中から誕生したものです」

「トンボのブローチ」に想いを込めて、レコールの精神を受け継ぐ


実は東京でのレコール開催期間中に、2023年4月に新学長が就任することが発表されました。マリーさんから「学長」のバトンを受け継ぐことになるのは、リーズ・マクドナルドさん。

このインタビューが行われた2月末、2人はお揃いのヴァン クリーフ&アーペルのトンボのブローチを身につけて現れました。

レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校左が初代学長のマリー・ヴァラネ-デロムさん。右がこの4月より2代目学長に就任予定のリーズ・マクドナルドさん。

「トンボは幸運と勝利を象徴しています。そして自らの羽で空を飛びます。私とリーズのレコールへの想いが互いの心に伝わり、未来へと発展することを願って、このモチーフを2人で身につけることにしました」とマリーさん。

笑顔でそっとブローチに触れながら、リーズさんが続けます。「空を飛ぶ生き物――トンボもそうですが、たとえば鳥は、歴史上多くのジュエラーが作品のモチーフとしてきたものです」

「飛んだり木に留まったりする鳥の姿や、美しい羽は、多くのアーティストを魅了してきました。一方、空を飛べない私たちにとって鳥は非常に興味深い生き物で、科学的な視点から多くの研究がなされてきました。そこで私たちは、鳥を主軸においた“アートと科学の対話”を展覧会として企画しました。2019年にパリの自然史博物館で行ったのですが、これがとても素晴らしい内容だったのです」

この展覧会を東京でも……というレコールの願いが、東京大学総合研究博物館と山階鳥類研究所の協力を得て実現しました。現在、東京駅のすぐ近くにあるJPタワー学術文化総合ミュージアム、インターメディアテクにて開催されているのが、特別展示「極楽鳥」(2023年5月7日まで開催)。

レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校特別展示『極楽鳥』の様子。

「レコールの理念に沿った、大人も子供も家族みんなで楽しめる展覧会です」と胸を張るリーズさん。「私たちにとって子供や若者世代に宝飾文化を伝えることは、とても大きな使命なのです。

レコールの使命、それは世界中の子供たちの“美への好奇心”を育てること


「好奇心は大人でも子供でも、誰の心にもあるものです。レコールが目指すのは、心の中にある“美に対する好奇心”に気づきを与え、大きく育てていくこと」とリーズさんは言います。

「審美眼というものは、生まれつき備わっているものではなく、美しいものをたくさん見ることで培われます。でも“美”の定義は、国によって違います。ヨーロッパの美、アジアの美、アフリカの美、アメリカの美……。ですからレコールでは、異なる様々な美を見てもらうようにしています。自分の思い込みや殻から出て、違う視点で美を感じること。それが新たな好奇心を育てていくと考えています」

レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校

レコールはパリ本校のほか、2019年には香港にレコール アジアパシフィック校が、そして2023年秋には上海にも新しい常設校が作られます。またオンライントークを視聴できるシステムもあり、日本語の同時通訳も用意されています。今回の日本特別講座2023はすでに終了しましたが、ぜひ自分の中にある好奇心とともに、レコールにアクセスしてみてはいかがでしょうか。

●お問い合わせ
E-mail:jp.lecole@vancleefarpels.com

「極楽鳥」 インターメディアテク開館10周年記念 特別展示

期間:2023年1月20日(金)~5月7日(日)

会場:JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」3階(東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階)

時間:11時~18時(金曜・土曜~20時)

休館:月曜(月曜が祝日の場合は翌日)、その他館が定める日

入館料:無料

主催:東京大学総合研究博物館+レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校

協力:山階鳥類研究所

協賛:ヴァン クリーフ&アーペル
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