家族だからこそ優しく、真摯に。母と娘――年を重ねて深まる絆(前編)
仕事に加え、最近は子育てにも忙しい日々を送る真麻さんと、長年、夫の高橋英樹さんを公私ともに支えてきた、美恵子さん。仲よし家族として過ごしてきた日々を振り返り、今だからこそ話せるお互いの本音も語っていただきました。
母・高橋美恵子さん(エル・エージェンシー、 おまんじゅう社長)
×
娘・高橋真麻さん(フリーアナウンサー)
撮影の合間にも会話が弾む美恵子さんと真麻さん。話題はもっぱら、真麻さんの2人の子どもたちのこと。「自分も子どもを持ったことであらためて母から受けた愛情に感謝しています」(真麻さん)“働くママ”の姿を見て育った子ども時代
高橋真麻さん(以下、真麻) ママは私が生まれる前からパパ(俳優の高橋英樹さん)の事務所の社長をしていたけれど、私の子ども時代はまだ、母親が仕事を持っているような家庭は珍しくて……。
高橋美恵子さん(以下、美恵子) 私ともう1人のお母さまと、クラスに2人しかいなかったのよ。
高橋真麻さんたかはし・まあさ 1981年東京生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。2004年フジテレビにアナウンサーとして入社。2013年、フジテレビを退社しフリーアナウンサーに。「父と母の仲がよすぎて焼き餅を焼いたこともありました」(真麻さん)高橋美恵子さんたかはし・みえこ 女優として活動後、俳優の高橋英樹氏と結婚。所属事務所の社長としてマネジメントを行う。2013年〜2019年は娘の真麻さんのマネジメントも担当した。「きちんと自立してこんなに“いいママ”になるなんて驚いたり嬉しかったりしています」(美恵子さん)真麻 でも、家ではたっぷり愛情を注いで可愛がってもらったし、“働くお母さん”を持っていることには、そんなに違和感なく育った気がします。ただ両親の仕事関係のかたがたとご一緒すると、皆さんが「英樹さん、英樹さん」「社長、社長」と2人を囲んでいて、私だけのパパとママじゃないんだな、と感じてはいました。
そもそも2人は仲がよすぎるから、幼い私を真ん中に3人で手を繫いで歩いていても、細い道になるとヒョイッと私を置き去りにして、2人で手を繫ぎ直してどんどん先に行ってしまう。待って!と追いかけて、寂しい思いをしたことも(笑)。
左・高橋英樹さんが真麻さんの名前にちなんで「麻」と書いて贈った書。右・幼い頃、真麻さんから美恵子さんへあてた手紙。美恵子 大人になって真麻に実はあの頃……と聞かされて、申し訳なかったと思っています。でも、私たちにしてみれば待望の娘。自分で作った子守唄を聞かせながら真麻を寝かしつけていたときのことなど、今でも思い出すだけで涙が出てくるのよ。
真麻 いろいろなところに連れて行ってもらったことも、私にとって大切な財産になっています。夏は毎年、蓼科に1か月くらい滞在して、豊かな自然の中で牧場のポニーに乗ったりバーベキューをしたり。
美恵子 年末年始はハワイ旅行も恒例行事だったわね。
真麻 蓼科もハワイも毎年行き続けていたから写真を見ても、いつ撮ったものだかわからないという(笑)。
美恵子 ただ、パパの仕事柄、どうしても周囲の大人はあなたのことを甘やかしがちなので、しつけに関しては厳しくしたかもしれません。
真麻 忘れられないのは、隠していたテスト用紙が見つかったときのこと。点数が低いのは構わない、でも噓や隠し事はいけない、と叱られて……こんなに怒られるくらいなら二度と噓をつくまい、と心に刻まれました。おかげで大人になった今でも誰に対しても噓のつけない性格になりました。
美恵子 このごろの真麻を見ていると、正直すぎてすぐに顔に出るのが心配になることもあるけれど。
真麻 大人になって社会に出ると罪のない小さな噓をつくほうが人間関係が円滑に進むこともあるのに、それができないのはパパとママのしつけのおかげです(笑)。ママは字が綺麗で筆まめで、お礼状を書くのも苦にならないでしょう? 見習おうと思っても私はなかなかできないけれど、そういう部分も尊敬しています。それに、パパのキャリアは、もちろん俳優としての能力もあるけれど、ママに支えられ助けられた部分も大きいと思う。