オーラを放つ時代の主役たち 第5回(全6回) その圧倒的な存在感、目が離せなくなる仕草や笑顔……。時代をリードし、活躍する人々の輝く姿を、写真家、篠山紀信さんが撮り下ろしました。素顔が垣間見られるインタビューとともにお届けします。
前回の記事はこちら>> 時代の主役たち・宮沢氷魚さん
衣装の詳細はフォトギャラリーで解説。「篠山先生と自分と洋服のセッション」。今回の撮影をそう表現する宮沢氷魚さん。男性ファッション誌で長年モデルを務め、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』、映画『エゴイスト』、舞台『ピサロ』などに出演。俳優のキャリアも重ねてきました。
「モデルの仕事では、『こうすればいい』という答えがすぐ出せるようになりました。映像は、僕の持っている引き出しではまだまだです。どこまで増やせばいいのか計り知れませんが、頑張っています」
引き出しを増やすには、「映画を観たり、読書したり。一人の時間も大切」と宮沢さん。ただ、映像作品の撮影中は時間の確保が難しく、「20〜30分のコメディドラマを観ます。帰宅して、お風呂に入って、ビールを1缶飲みながら1本観て寝る。いいインプットになっていますし、疲れも取れます」。
「オンとオフの切り替えが下手。なので、実家のクーパー(犬)に癒やされに帰ります(笑)」
休みが数日あれば東京を離れたいとも。景色や道行く人々を眺めつつ、「ただ視覚・聴覚から入ってくる情報を堪能して。その情報が、演じるときに意外と役立つんです」。
真摯に仕事と向き合う宮沢さんが、「すべてが報われた」と感じるのが、作品が公開されるとき。2023年もその瞬間が多く控えています。4月に『連続ドラマW-30ドラフトキング』が始まり、5月は主演映画『はざまに生きる、春』が公開。6月には、映画『パラサイト 半地下の家族』を舞台化した『パラサイト』に出演します。
多忙な日々を送る中での癒やしは、実家で飼っている犬のクーパー。「2時間でも時間が空いたら、実家に行って遊んで。僕は、オンオフをうまくつけられるほうではないので、時間のすべてを仕事に向けてしまう。だから、無理にでもスイッチを切らないと。スイッチオフの一つが実家ですね」。
コロナ禍以前は、実家でクッキーを焼き、撮影現場に差し入れたことも。料理も、子どもの頃から両親の手伝いをしつつ、見て学びました。「かなり気合いを入れてくれる」という手料理で、実家に帰る宮沢さんを迎えてくれるご両親。お互いが干渉しすぎることのない「ちょうどいい距離感」なのだそうです。
2023年は、20代ラストイヤー。
「20代は、30代、40代をより豊かにするための準備期間。どんな仕事も全力で取り組むと決めていました。もう30歳というゴールテープが見えているので、そこに向かって力を振り絞っていきます」
衣装の詳細はフォトギャラリーで解説。宮沢氷魚1994年アメリカ・サンフランシスコ生まれ。2015年より『MEN’S NONNO』の専属モデルを務め、2017年にドラマ『コウノドリ』第2シリーズで俳優デビュー。これまで、映画『騙し絵の牙』、NHK連続テレビ小説『エール』など多くの作品に出演。初主演映画『his』で第30回日本映画批評家大賞新人男優賞ほか数々の賞を受賞。映画『はざまに生きる、春』が公開待機中。2023年6月、舞台『パラサイト』に出演予定。 表示価格はすべて税込みです。
撮影/篠山紀信
スタイリング/庄 将司 ヘア&メイク/Taro Yoshida〈W〉 取材・文/西川敦子
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。