オーラを放つ時代の主役たち 最終回(全6回) その圧倒的な存在感、目が離せなくなる仕草や笑顔……。時代をリードし、活躍する人々の輝く姿を、写真家、篠山紀信さんが撮り下ろしました。素顔が垣間見られるインタビューとともにお届けします。
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衣装の詳細はフォトギャラリーで解説。「自然体でいる、人を大切にする。その2つは僕には大事なこと」
一人ふらっとスタジオに現れた眞栄田郷敦(まえだごうどん)さん。今、輝く若手俳優たちの中でも筆頭格です。撮影終了後、感想をお尋ねすると――。
「服もファッション撮影も好きなので、楽しかったです。でも考えていたのとはまったく違う撮影でした」。
いつものモデル撮影ではどう表現したらその服がカッコよく見えるか、魅力が伝わるかを一番に考えるところ、今回は今までに経験のないアプローチだったため、とても戸惑ったそうです。
「篠山先生に何を求められているのか。ずっと考えながら撮影に臨んでいたのですが、スーツを着てジャンプしたとき、何となくわかった気がしました。僕はこういう服だからこんな雰囲気で、と割と正解を求めに行くタイプなんです。でも、先生が『スーツ着てジャンプとか普通はしないでしょ? だからいいんだよ』と。それを聞いて、今日の臨み方を間違えていたんだなと悟りました(苦笑)。新しい経験のおかげで引き出しが増えて嬉しいです」。
映画『小さな恋のうた』でデビューして4年目。2022年は『カナカナ』、『エルピス―希望、あるいは災い―』、映画『カラダ探し』など話題作への出演が続きました。
「デビューしてすぐの頃は手探り状態。でも『プロミス・シンデレラ』(2021年放映)の現場で二階堂ふみさんの姿勢から、ものづくりの魅力に気づくことができました。それからは一秒一秒、自分の意思を持って役を生きられた自信があるので、作品ごとに何かを得られていると思います」と力強くいいきったあとで「反省点も多くてまだまだなんですけれどね」とはにかむ姿がチャーミング。
自分の性格を「めちゃくちゃ人見知りで慎重。新しい環境に飛び込むのも本当は苦手」と分析。「お父さまの千葉真一さん(2021年逝去)、お兄さんの新田真剣佑さんと性格は似ているんですか?」との質問には「2人は自分のフィールドを持っていて、自我が強い感じ(笑)が似ていますね。僕とは真逆です。あまり自我が強くないので。強いていえば僕は性格も顔も母親寄りですかね」。
衣装の詳細はフォトギャラリーで解説。23歳、これからどう生きていきたいかをお尋ねすると「一度きりの人生なので、仕事もそれ以外の世界も充実させて楽しみたいです」。
日頃から大事にしているのは自然体であることと、人を大切にすること。
「飾ってもすぐバレると思うんです。自分を大きく見せようとせずありのままでいよう、少しずつでも人間力の底上げをしていこうと決めました」。「最近、撮影現場が面白くて」と目をキラキラ輝かせて語ってくれた郷敦さん。
これから新たな世界を経験するごとにすべてを吸収し、自然体でありながら器の大きい俳優になるのだろうと期待を抱かせてくれます。願わくは、今のままのピュアな郷敦さんでいてください!
衣装の詳細はフォトギャラリーで解説。眞栄田郷敦2000年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。中学入学を機にロサンゼルスから京都へ移住。高校時代、吹奏楽部でサックスに打ち込む。プロを目指し東京藝術大学を受験したが、残念ながら不合格。その後、映画のオファーを受け俳優の道に。故・千葉真一さんの84回目の誕生日である2023年1月22日、兄とともに結婚発表。2023年の大河ドラマ『どうする家康』武田勝頼役で登場予定。映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』前編が同年4月、後編が6月に公開予定。 表示価格はすべて税込みです。
撮影/篠山紀信
スタイリング/丸本達彦〈UNFORM〉 ヘア&メイク/キクチタダシ〈LUCK HAIR〉 取材・文/小松庸子
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。