現在、自身が卒業した多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科の客員教授も務めている。――それだけ、脚本家・演出家の倉持 裕さんへの信頼が厚いのでしょうね。
「はい。脚本家や演出家を信頼して、その世界の一部になっていく。役者の仕事って、そのくらいしかないと僕は思っています。そういう意味でも、たくさんの作家や演出家がいる中で、倉持さんと出会えてよかったなと思います。一緒に芝居をつくれること自体が、僕にとってすごく豊かな時間です」
――倉持さんとは、「竹生企画」のほかに、演劇ユニット「直人と倉持の会」でも組んでいらっしゃいます。竹中さんにとって、その作品の魅力はどんなところにあるのでしょう?
「異次元に入った感じがするところですかね。演じていても、観ていても、この世に生きているのに、この世じゃないような、別空間に存在している人間達……という印象を受けます。倉持さんとは、たまに一緒に映画を観に行ったりもしています。僕は映画、それもみんなが知らないようなものがすごく好きで、自分で観た映画に“これはぜひ観てほしいな”と思うものがあると、倉持さんに連絡したり。そういえば、竹生企画で前作をやった時は、僕の好きな映画の話をして、こんな感じの舞台ができたらいいなあ、なんて話をしました」
――今回も何かリクエストをされたのですか?
「“SFっぽいことをしたい”とは言ったかもしれません。リクエストをするといっても、毎回その程度ですね。僕自身、舞台では話の内容よりも役者を見たいほうなので。今回は、映画『舞妓はレディ』で共演した時から、また一緒に何かできたらいいねという話をしていた上白石萌音さんに出てもらいます。萌音ちゃんにとっては、20歳になって最初の舞台ということで、記念すべき舞台になるのかなと思うと、ちょっと嬉しいですね」