本来はホールケーキをのせるために作られたプレートをお盆として使用“カリビアン”をテーマに、海や帆船、海鳥などの柄が、明るく朗らかな多色づかいで表現されている。Tips4
用途から離れて自由な発想を楽しむ
1枚のお盆やトレーの中で、自分だけの世界、自分だけの時間を過ごす。そんなマイ ・カフェ・ タイムは、遊び心を持って思い切り楽しみたいもの。多美保さんの、ジャパニーズティーのコーディネートには、本来の用途に捉われることのない、自由な発想に溢れています。
お盆代わりにしているのは、「ジアン」のケーキプラター。同じく「ジアン」のデミタスカップには抹茶を、フランス「アビランド」のカップにはほうじ茶を注ぎました。お祖母さまから受け継いだ棗(なつめ)にはピスタチオを入れて。花をあしらっているのは、なんと鉄瓶です。ちょっと視点を変えてみることで、お気に入りのアイテムをもっと日々の暮らしの中で生かすことができるのです。
金沢在住の作家・坂田直樹さんの鉄瓶に、ケーキプラターの縁に使われているのと同じオレンジ色のカトレアを1輪あしらった。和にも洋のコーディネートにも合う刺繍のクロスは、パリの「ノエル」で見つけたもの。Tips5
美しい“もの”を通して美意識を鍛える
多美保さんの、コーディネートのインスピレーションはどのように生まれるのでしょうか? そのキーポイントを伺ったところ、“美しいもの”に触れることが大切なのだと教えてくれました。
「例えば、このケーキプラターはフランスで長い歴史を持つ窯のものなのですが、こういった絵柄は優れたデザイナーによって作られたものです。よく観察してみると、どんな色の組み合わせが、どんな配分で使われているのかが分かります。美しいと感じたものをよく見て、なぜ美しいのかを考え、それを自分のコーディネートの中に生かすんです」。
「食器に限らず、美術品や街中のショーウィンドーなど、美しいものに触れることが、私自身もとても勉強になると思っています」。 たとえ、カップ&ソーサー1客であっても美しいと感じられるものを使ったり、美術館で本物の作品を味わったり……美しさに感動し、それをよく見澄ますことで美的センスは磨かれてゆくのです。
横瀬多美保/Tamiho Yokose
インテリアスタイリスト
東京都生まれ。テーブルコーディネーター、インテリアスタイリスト。テーブルコーディネーターの故クニエダヤスエ氏に師事。女性誌や料理本、百貨店のディスプレイなどのスタイリングに携わる。新旧、和洋を自在に織り交ぜた、モダンでエレガントなコーディネートに定評がある。『家庭画報』とのおつきあいは30年近く。流行や時代の変化をしなやかに受け止めながら、幸福感漂う美しい暮らしを提案し続けている。
『テーブルコーディネートから始まる 美しい暮らしのインテリア365日』 2019年10月2日発売!
『家庭画報』をはじめとする女性誌で活躍する、インテリアスタイリスト・横瀬多美保さん。ご自身の1LDKでの暮らしを1年間にわたり追った『家庭画報.com』の人気連載が、ついに一冊の本になりました。コーディネートの組み立て方、“自分らしい”空間の作り方も初公開! 今すぐ活用できる暮らしのtipsが満載です。