2枚の白木杉板に、花筏のように桜の花を散らし、桜形やちょうちょ形にぬいたすし飯を添える。「イッタラ」のガラスは遠くの山に見立てて酒器に。菓子器「御所霞」(林 美木子 作)には、桜鯛のカルパッチョや三色団子など、春の料理を入れる。
料理・文=三枝政代(料理家)明るく柔らかな日差し。暖かさとともに芽吹いてくる香り。大地より草木が萌えたち、虫たちも目覚め、山は生命力に溢れ、桜がほの淡く山々を染めてゆく、そんな清明の頃。
春のうららかな日には、遠くにうっすらと霞がたなびきます。谷川の水音には柔らかさを感じ、川辺の桜が散りしきり、花びらは水面を覆い花筏になって流れてゆきます。
そんな風情ある景色を思い浮かべ、普段銘々盆として使っている白木杉板を活かして、桜花の美しさを感じる花見の宴を楽しんでみました。花の儚さに無常も感じつつ、だんだん春も深まってゆきます。
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