退蔵院のサクラはとてもフォトジェニック、紅枝垂れザクラ越しに枯山水の庭園を眺めると、この美しさ。石が描く輪紋がサクラの花びらで淡いピンクに染まる時期もまた素敵。写真協力/PIXTA1枚の絵を見るがごとく計算されたサクラの景色
〜妙心寺・退蔵院
京都駅から電車で10分少々。嵐山に向かう途中にある花園は平安時代の貴族たちが山荘を置いたエリアで、龍安寺、仁和寺、法金剛院などサクラの名所が点在しています。
なかでもおすすめなのが、臨済宗妙心派の大本山の妙心寺。禅寺の広い境内に40を超す塔頭があることで知られていますが、なかでも屈指の古刹、退蔵院のサクラは一度見たら忘れられないほど、インパクトの強い美しさです。
退蔵院にはそれほどたくさんサクラの木があるわけではありません。しかし、余香苑の奥門の向こうに広がる紅枝垂れザクラは、もう誰もが写真を撮りたい衝動に駆られるほどフォトジェニックな景色です。
古刹ならではの歴史を感じさせる奥門の木肌の枯れ色をフレームに、生き生きした桜色が溢れんばかりに目に飛び込む、その対比がとても美しく、心に響くのです。
そしてもう1枚、ぜひ写真に納めたいのが枯山水の庭園に重なるように咲く枝垂れザクラの景色です。
サクラが散り始めると、石で描かれた輪紋のくぼみを花びらが埋め、枯山水全体が淡ピンク色に染まる景色もとても風情があります。
1本のサクラが生み出す美しい名画
退蔵院のサクラの美しさは、庭師による計算の上に成り立っているのだと思います。どの位置から、どのアングルから眺めたら美しさが際立つか、緻密な計算がされているように感じられてなりません。1本のサクラが生み出す美しい名画をじっくりとご鑑賞ください。
サクラの美しさに高揚したあとには、お茶席「大休庵」でお抹茶で一服して心静める時間を。
退蔵院オリジナルのナマズの焼き印のある「もちどら」は、丹波の大納言小豆を炊いた粒あんがとてもおいしい半生菓子。お抹茶にとてもよく合います。お茶席の予約は当日に売店でできます。
妙心寺・退蔵院
京都府京都市右京区花園妙心寺町35
アクセス JR嵯峨野線「花園駅」下車、徒歩約7分。
拝観料 大人500円
電話 075-463-2855
拝観時間 9時〜17時
休日 なし
http://www.taizoin.com