2023年3月1日から東京の国立新美術館でスタートした「ルーヴル美術館展 愛を描く」。ルーヴル美術館に所蔵される膨大な作品の中から、16世紀から19世紀半ばまでに描かれた、愛をテーマにした73点の絵画が出展されています。パリ在住の美術展プロデューサー・今津京子さんに、知られざる愛の名画の秘密を教えていただきましょう。
記事の最後には鑑賞券のプレゼントもあります。
連載一覧はこちら>>第3回
フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》
フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年 油彩・カンヴァス Photo (c) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcom愛の神、アモル自身の愛の物語は、神話の中ではどちらかと言えば少数派の、ハッピーエンドのお話です。美貌で知られた王女プシュケは、嫉妬した女神ヴィーナスの策略により、醜悪な生き物と結婚させられそうになりますが、プシュケに恋したアモルは、彼女を自分の宮殿に運びます。そして自分の姿を見ることを固く禁じつつ、夜間だけ彼女とともに過ごすという奇妙な結婚生活を送りました。しかしある晩、プシュケは眠る夫の姿をランプの灯りで見てしまい、怒ったアモルは飛び去ってしまいます。以後、さすらいの旅に出たプシュケは数々の試練を乗り越えてアモルと再会し、最後は天界で結婚式をあげました。
1798年、表題の作品をジェラールが発表した時、とくに「目が見えてないようなプシュケの表情」や「無垢を感じさせる体つき」が注目され、批評家たちの多くは、「まだ愛を知らない無垢な少女プシュケがアモルのキスを受けて、愛を意識した瞬間」の表現を見いだしました。
本展には、アモルとプシュケの物語に想を得た絵画がこの作品を含めて3点紹介されています(《眠る姿を見つめるプシュケ》、《プシュケとアモルの結婚》)。それぞれ異なるセクションに展示されていますので、是非注目してみてください。
『ルーヴル美術館展 愛を描く』
写真提供/日本テレビ放送網西洋社会における様々な愛の概念が絵画芸術にどのように描出されてきたのか、ルーヴル美術館の膨大なコレクションから精選された73点の絵画を通して浮き彫りする。16世紀から19世紀半ばまで、ヨーロッパ各国の画家による作品から愛の表現の諸相を紐解く、かつてない趣向の展覧会。
東京展:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)会期:~2023年6月12日(月)
開館時間:10時~18時(金・土曜日は20時まで。入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般2100円/大学生1400円/高校生1000円
休館日:火曜(5月2日は開館)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:
https://www.ntv.co.jp/love_louvre/京都展:京都市京セラ美術館2023年6月27日(火)~9月24日(日)
※詳しい入館方法や最新情報は展覧会公式サイトでお確かめください。
【家庭画報.com会員限定】プレゼントのお知らせ
抽選で10名様に本展の鑑賞券をプレゼントします応募には、家庭画報.comの会員登録(無料)が必要です。
未登録の方は〔ご応募はこちら〕ボタンから「新規会員登録」へお進みください。
応募締め切り:2023年5月5日(金)23:59まで
注意事項(必ずお読みください)●当選の発表はプレゼント書籍の発送をもってかえさせていただきます。抽選結果に関するお問い合わせはお答えしかねます。
●住所不明・長期不在等で届かなかった場合は、当選を無効とさせていただきます。
今津京子/Kyoko Imazu
撮影/小野裕次美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「ルーヴル美術館展 愛を描く」、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)、「モネ展」(2015年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。
日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。
表示価格はすべて税込みです。