2023年3月1日から東京の国立新美術館でスタートした「ルーヴル美術館展 愛を描く」。ルーヴル美術館に所蔵される膨大な作品の中から、16世紀から19世紀半ばまでに描かれた、愛をテーマにした73点の絵画が出展されています。パリ在住の美術展プロデューサー・今津京子さんに、知られざる愛の名画の秘密を教えていただきましょう。
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16世紀後半にヴェネツィアで活動した画家《アドニスの死》
16世紀後半にヴェネツィアで活動した画家《アドニスの死》1550-1555年頃 油彩・カンヴァス Photo (c) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) /Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcomギリシャ神話に出てくる神々は、己の欲望に従順です。美の神ヴィーナスはウルカヌスと結婚していたにもかかわらず多くの恋人がいました。最も有名なのは軍神マルスで、本展覧会にも何点か二人を描いた作品が出ています(《ウルヌカスの鍛冶場のマルスとヴィーナス》)。
ヴィーナスは美しい青年アドニスにも心を奪われました。アドニスは、ヴィーナスの忠告にもかかわらず狩りに出かけて猪に命を奪われてしまいます。描かれているのは、亡骸を見つけ気を失ったヴィーナスを三美神が支えている場面です。周りにはアモルも飛んでいます。なお、この作品はルーヴル美術館では、「モナ・リザ」の展示室内、壁の高いところに飾られていました。近くで詳細を見ることができるのも、特別展の楽しみの一つです。
『ルーヴル美術館展 愛を描く』
写真提供/日本テレビ放送網西洋社会における様々な愛の概念が絵画芸術にどのように描出されてきたのか、ルーヴル美術館の膨大なコレクションから精選された73点の絵画を通して浮き彫りする。16世紀から19世紀半ばまで、ヨーロッパ各国の画家による作品から愛の表現の諸相を紐解く、かつてない趣向の展覧会。
東京展:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)会期:~2023年6月12日(月)
開館時間:10時~18時(金・土曜日は20時まで。入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般2100円/大学生1400円/高校生1000円
休館日:火曜(5月2日は開館)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:
https://www.ntv.co.jp/love_louvre/京都展:京都市京セラ美術館2023年6月27日(火)~9月24日(日)
※詳しい入館方法や最新情報は展覧会公式サイトでお確かめください。
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今津京子/Kyoko Imazu
撮影/小野裕次美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「ルーヴル美術館展 愛を描く」、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)、「モネ展」(2015年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。
日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。
表示価格はすべて税込みです。