ジャズ歌唱界の新星
ⓒ Meredith Truaxヴェルヴェット・ヴォイスという称がこれほどに似合う歌声は、なかなかないのではないだろうか。
サマラ・ジョイはあたたかくリッチな質感の声を自在に操り、若くして風格を感じさせるパフォーマンスで話題の新星だ。
祖父母、父ともにゴスペル歌手というブロンクスの音楽一家に生まれ育った。ジャズを歌い始めたのは、高校時代のこと。その後大学で本格的に学び、コンペティション優勝を機にジャズ界で注目された。
一方、InstagramやTikTokの投稿は、今風の細工などないシンプルな歌唱動画ながら人気を集め、若年層にもファンを獲得。近年には珍しい正統派シンガーとして、今後のジャズ・ヴォーカル・シーンをリードすることが期待される。
アメリカの名門ジャズレコード会社ヴァーヴからリリースされたメジャー・デビュー・アルバム『リンガー・アワイル』はグラミー賞を受賞した。
収録曲は、歌い継がれるスタンダードナンバーが中心。一部の楽曲は独自の歌詞を歌うヴォカリーズのスタイルで、古きよき香りを残しつつ、同時代の聴き手を魅了する音楽へと新たな生命を与えられている。
Samara Joy(サマラ・ジョイ)1998年ニューヨーク生まれ。祖父母は有名ゴスペルグループのメンバー、父もゴスペル歌手という音楽一家に育つ。2019年「サラ・ヴォーン国際ジャズ・ヴォーカル・コンペティション」で優勝し、2022年メジャーデビュー。次世代のジャズ・ヴォーカル・クイーンとして注目される。 編集部おすすめ
[CD]
サマラ・ジョイ『リンガー・アワイル』
UCCV-1194 2860円サラ・ヴォーンを思わせる圧倒的な表現力により、「カスタードのようにリッチな歌声」(ニューヨーク・タイムズ)、「静謐で悠然な音楽」(NPR)と絶賛されるサマラ・ジョイ。
アメリカの名門ジャズレコード会社ヴァーヴからのメジャー・デビュー・アルバム。共演にパスカーレ・グラッソ(g)、ベン・パターソン(p)、デイヴィッド・ウォン(b)、ケニー・ワシントン(ds)という名手たちを迎え、彼女が愛するスタンダード曲のアレンジを中心に収録している。
2023年2月に開催された第65回グラミー賞において、「最優秀新人賞」、「最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム」の2部門で受賞。
[収録曲]「キャント・ゲット・アウト・オブ・ディス・ムード」「ゲス・フー・アイ・ソウ・トゥデイ」「ミスティ」「ラウンド・ミッドナイト」「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー」ほか「アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー」※日本盤限定ボーナストラック
[公式HP]URL:
https://samarajoy.com/home 表示価格はすべて税込みです。
構成・文/高坂はる香
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。