冬子さんの場合『こころの相続』(言視舎・本郷 尚著)掲載夫を突然の事故で亡くした冬子さん。悪いことは続き、1年後には義父が亡くなりました。夫が亡くなっているので、二人の息子(孫)が代襲相続をしました。愛する人を亡くした冬子さんと義母は助け合って生きていき、やがて実の母娘のような存在に。義母の気がかりは世話になった嫁に相続権がないことでした。そこで、税理士のアドバイスをもとに冬子さんを養女に迎えて相続権を与え、全財産を遺す公正証書遺言を作成したのです。
知っておきたい贈与の基本
■生前贈与贈与制度のスタンダードは、「暦年贈与」と「相続時精算課税」。暦年贈与は、受ける側一人につき毎年110万円まで非課税となり、それを超える場合でも300万円程度までなら税率は10パーセント程度。
他人にも有効で、渡す資産は現金のほか有価証券や不動産などさまざま。税制改革で2024年1月1日以降から、渡す側が亡くなる7年前の分から相続税が課税されるようになるので注意。
相続時精算課税は現行、渡す側一人につき2500万円までが非課税で、両親それぞれからの贈与で5000万円まで可能。ただし渡す側は60歳以上の父母か祖父母、受ける側は18歳以上の子か孫に限る。また、渡す側が亡くなったら、贈与税分を引いた相続税を別途現金で納める必要がある。
■生命保険相続財産から外れ、指定した本人に確実に渡る財産として、生命保険が有効。500万円までは非課税となる。ただし、相続税の申告は必要。契約形態により税金のかかり方が変わるので、十分検討をした上で加入が賢明。
本郷 尚先生の著書日本における資産税の第一人者として活躍する傍ら執筆活動を行う本郷先生。実体験をベースにした、女性の相続のドラマを描いたリアルな小説が好評。近著は『女は4つの顔で相続する』(白揚社)。
〔特集〕母娘(おやこ)いっしょにもっと元気で、いきいきと
イラスト/神崎 遥 取材・文/小倉理加 ※神崎さんの「崎」は正しくは「大」の部分が「立」です
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。