ハイクレア城に暮らす ドラマ『ダウントン・アビー』で一躍脚光を浴びた英国ハイクレア城。その城に今も住む第8代カナーヴォン伯爵家の人びとのライフスタイルを、英国フリーライター山形優子フットマンが取材。貴族の暮らしに息づく英国文化をご紹介します。水曜更新。
(今までの連載はこちら) 甦った「第2代伯爵の庭」の物語
「5月は1年で一番忙しい時期」と語るのは、ハイクレア城の筆頭庭師ポールさんです。
まずは城の周りを囲む広大な芝生を刈るのがひと仕事。トラクターによる芝刈りが始まると砕かれた芝が太陽の光に舞い上がり、若草特有の甘い香りが一面に漂い、初夏の訪れを告げます。
その作業と並行しながら、グリーンハウスで育てた苗の地植えを始め、花が終った後のおびただしい数の球根も整理しなければなりません。庭の隅々まで春の息吹を感じる5月は、成長する命との追いかけっこに大わらわです。
今回は、レディ・フィオーナと、城の庭師が協力して甦らせた、あるガーデンのお話です。
キャプ/筆頭庭師のポール・バーカーとレディ・フィオーナ。