2023年3月1日から東京の国立新美術館でスタートした「ルーヴル美術館展 愛を描く」。ルーヴル美術館に所蔵される膨大な作品の中から、16世紀から19世紀半ばまでに描かれた、愛をテーマにした73点の絵画が出展されています。パリ在住の美術展プロデューサー・今津京子さんに、知られざる愛の名画の秘密を教えていただきましょう。
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ウジェーヌ・ドラクロワ《アビドスの花嫁》
ウジェーヌ・ドラクロワ《アビドスの花嫁》1852-1853年頃 油彩/カンヴァス Photo (c) RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Franck Raux / distributed by AMF-DNPartcomオスマン帝国時代、高官の娘のズレイカとその兄(実は従兄弟)で海賊の首領セリムの恋を死が引き裂く悲恋の物語。敵軍に追い詰められつつも応戦しようとするセリムを、ズレイカが必死に引き止めようとする場面が描かれています。
19世紀フランスのロマン主義を代表する画家、ウジェーヌ・ドラクロワは、イギリスの詩人バイロンが発表したその物語に感動してこの作品を描いたといいます。19世紀のフランスでは、極端に激しい物語や悲劇的な話が好まれ、文学作品やギリシャ神話に題材を見出すことが増えました。
本展覧会の最後の展示室は、大型の作品3点を含むこうした作品群を引き立たせるために、壁を濃い色に仕立てて、それぞれの作品が浮かび上がるような劇的な空間に仕上げたい、というのが当初からの制作陣の考えでした。その意図を感じていただければ嬉しいです。
『ルーヴル美術館展 愛を描く』
写真提供/日本テレビ放送網西洋社会における様々な愛の概念が絵画芸術にどのように描出されてきたのか、ルーヴル美術館の膨大なコレクションから精選された73点の絵画を通して浮き彫りする。16世紀から19世紀半ばまで、ヨーロッパ各国の画家による作品から愛の表現の諸相を紐解く、かつてない趣向の展覧会。
東京展:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)会期:~2023年6月12日(月)
開館時間:10時~18時(金・土曜日は20時まで。入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般2100円/大学生1400円/高校生1000円
休館日:火曜(5月2日は開館)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:
https://www.ntv.co.jp/love_louvre/京都展:京都市京セラ美術館2023年6月27日(火)~9月24日(日)
※詳しい入館方法や最新情報は展覧会公式サイトでお確かめください。
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今津京子/Kyoko Imazu
撮影/小野裕次美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「ルーヴル美術館展 愛を描く」、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)、「モネ展」(2015年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。
日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。
表示価格はすべて税込みです。