意外と見逃してしまう当たり前のこと
「お客様は神様」をお客様の側が信じてしまうとどういった不利益を被るのか。そのことを説明する前に、確認しておきたい2つの前提があります。
1つは、人間は感情の動物であるということ。にこやかに笑っている販売員にも、好き嫌いという感情があります。
2つ目は、お店に並んでいるジュエリーがすべて優れたものではない、ということです。どうしてお店の社長は良くないジュエリーを仕入れるの、と言われるかもしれませんが、間違い、勘違いというものは誰にでもあります。実際、同じように並んでいるジュエリーでも、お店の人から見て「これは良くて安いな」と思うものと、「これは(社長が)何を考えて仕入れたのか分からない、このジュエリーを見るのも嫌ね」というものとがあります。
お店に好かれるお客様が得する理由
さて、あなたがお店から好かれているお客様だとします。その場合、良くて安いジュエリーが入ったら真っ先に知らせてくれますし、来店した時にも、それをすすめてくれます。
また、良くないジュエリーをあなたが手にとった場合には、やんわりと「お客様それは(おすすめしません)」と言ってくれます。
逆にですよ、お店から、どうもこのお客様はね……と思われている人の場合には、販売員は何も言わず、好き勝手にさせておきます。
たとえおすすめしない商品に手を出しても、にっこりと笑ってそのまま買ってもらいます。
ここまで書きますと、たいてい、「お店が客を選ぶとは怪しからん!」と怒る人が多いのですが、最初に言いました通り、店員も人間です、好き嫌いという感情を持つのは当たり前のことです。
良いお客様=たくさん買う人ではない
言っておきますが、「良い客」というのは、毎週のように店に来るとか、その都度色々と買ってくれるとか、ということではありません。
相手(店の販売員)を一人の人間としてにこやかに応対する、これが良い客ということなのです。
逆に店に嫌われるためには、簡単なことです、「自分は客で神様だから、何を言っても、しても良い」と思い込んで振る舞えばいいのです。実際にこうした方は多いのですよ。これほどお客様にとって損なことはありませんのに。