菖蒲湯でおなじみの菖蒲の葉だが、ざっくりと網代編みにして露を打ち、折敷に見立てれば、食卓を爽やかに彩ってくれる。同じく菖蒲の葉で小鯛寿司を結んで。ピンク色が美しい菖蒲酒は、菖蒲の根を細かく刻み、酒に浸したもの。青磁酒器は川瀬忍作。ちまきや蓬を添えて、お客さまをお迎えする大人のための端午の節句。
料理・文=三枝政代(料理家)清々しい空、風に揺れる木々の影、美しい木漏れ日……。
春から初夏へと移り、一年中で一番気持ちのよい気候を迎える5月。
田植えの時期は、季節の変わり目であるために魔が忍び込みやすいとされ、豊作を祈るとともに、菖蒲や蓬の芳香で邪気払いが行われてきました。
男の子の成長を願う端午の節句も同様、菖蒲湯で心身を清め、柏餅や蓬餅、ちまきを食すなど、香気の葉の文化が綿々と伝わってきました。かつては「菖蒲」と「尚武」の語呂合わせから、武家で重んじられていたそうです。
そんな菖蒲を用いて、初夏を感じる清々しいしつらえを考えてみました。
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