365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> クレマチス
フロリダ系の‘白万重’は優雅な花姿で古くから人気のある品種です。夏に開花を一時休みますが、秋に再び開花する四季咲き品種。蕾は緑色で開花するにつれ白へと変化していきます。■属科・タイプ:キンポウゲ科の落葉つる性花木
■花期:5月〜10月(種類によって異なる)
つる植物の女王が生み出すエレガントな景色にうっとり
Queen of Climbers。つる植物の女王と称され、世界中で愛されているクレマチスが次々と咲き出しています。クレマチスには春咲き、四季咲き、夏〜秋咲き、そして冬咲きがあり、厳寒期を除いて楽しめますが、なかでも種類豊富に咲き揃うのが初夏です。
ちょうどバラの開花時期に重なるので、バラと組み合わせて咲かせるシーンもよく見かけます。わざわざ遠くに見に出かけなくても、散歩中にクレマチスが生み出す素敵な景色を何カ所も見かけることができ、クレマチスが多くの人に愛されていることを実感します。
クレマチスには多くの種類があり、それぞれに園芸品種もたくさんあるので、系統に分けて整理されています。系統によって花期、花形、花のサイズなどが異なるので、新たにクレマチスを育てようという場合には、どの系統かチェックしてから苗を購入するのがおすすめです。人気の系統の特徴をご紹介しておきます。
大輪の花を楽しみたいなら、パテンス系、ジャックマニー系がおすすめで、パテンス系は早咲き、ジャックマニー系は遅咲きという違いがあります。両方を植えておけば、リレー咲きして楽しめる期間も長くなります。
小〜中輪でもたくさん花が咲くタイプがお望みなら、フロリダ系、ビチセラ系から選ぶのがおすすめです。とくにビチセラ系は耐寒性、耐暑性ともに強く、丈夫な性質で育てやすい系統です。
個性的なベル型の花を咲かせたいなら、テキセンシス系がおすすめ。ベル型だけでなく、つぼ型やチューリップ咲きなど、かわいらしい花形が多く揃っています。
ヴィオルナ系にもベル型の品種が多くあり、これは人気品種の‘踊場’。中心に向かって白くなる濃淡ピンクがとてもかわいらしい! 自宅のベランダでもこの品種を育てていますが、よく花をつけてくれるので、摘み花アレンジが楽しめます。さて、私もクレマチスが大好きで、ベランダにトレリスを設置し、3種のクレマチスを鉢植えで育てています。満開の時期、トレリスを埋め尽くすほどに咲く花を眺めるのも楽しいのですが、もう一つのお楽しみが花を摘んで飾ることです。
つるの動きに表情があるので、小さなボトルに1輪挿しただけでも絵になります。咲いている姿だけでなく、摘み花アレンジにしても、やはりクレマチスはつる植物の女王だなあと感じています。花もちもよいので、ご自宅で咲かせて、ぜひアレンジも楽しんでみてください。
栽培の難易度
つるを絡めながら成長するので、フェンスやアーチ、トレリスなど絡んで伸びていくための仕立てを準備します。日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷりと水やりします。根がしっかり活着するまでは、土壌が乾いたら水やりし、その後は雨まかせにしてかまいません。つるが伸びてきたら、誘引して仕立てから大きくはみ出さないようにします。春〜夏にかけての生育期間は、月に一度緩効性肥料を追肥します。花が終わったら花首の下を切って摘み取ります。剪定は落葉期に行います。伸びすぎた枝をカットし、花がつかない古い枝もカットします。剪定後に株元に施肥しておくと、春の芽出しがよくなります。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。