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育種家 ルーサー・バーバンク氏の情熱が生んだ清楚な花。雪のように白い「シャスタデージー」

2023.05.22

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

シャスタデージー


シャスタデージー
観光ガーデンのバラが咲くアーチの下で群生するシャスタデージー。自然に群れ咲くナチュラルな景色が素敵です。暑さの厳しい土地でもちゃんと宿根して、毎年花を咲かせていることに少し驚きました。

■属科・タイプ:キク科の宿根草
■花期:5月中旬〜7月

■草丈:50〜80cm

アメリカの育種家が情熱を注いで生み出した花です


観光ガーデンで清楚な白い花が群れ咲くのを見たとき、なんて美しくすがすがしい景色だろうと、しばし見惚れました。ちょうど開花時期のローズガーデンに夢中になっている方々に、「こっちで咲いているシャスタデージーも見落とさないでください〜」と声をかけたくなりました。

マーガレットによく似ているので混同されがちですが、マーガレットは低木で、シャスタデージーは宿根草。植えてすぐのマーガレットには低木の雰囲気があまりありませんが、数年経つと茎が木質化してきます。そのため株姿全体を見ると、マーガレットはどっしりとした印象で、シャスタデージーは草原に群れ咲くような軽やかな雰囲気があります。

シャスタデージーは、アメリカの育種家、ルーサー・バーバンク氏がフランスギクから選抜、育種を繰り返して生み出したもので、17年の年月をかけ1901年に発表されました。

育種の過程で原産国の異なるレウカンセマム属の仲間が数種類使われ、花がたくさん咲き、病気に強い性質に改良されましたが、花の白さにおいてバーバンクにとって満足がいくできではなく、最後に日本固有種のハマギクを掛け合わせることで雪のように白い花を咲かせることができました。シャスタデージーの名前は、カリフォルニア北部にあるバーバンクの農場から見える1年中雪を抱いたシャスタ山(Mount Shasta)にちなんだものです。

さて、このバーバンク氏の話に覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。微生物学者の中村 浩氏によって書かれた文章が、1980年〜1991年まで、小学3年生の国語の教科書に掲載されていましたから。純白で大きな花がたくさん咲き、丈夫な性質で誰でも容易に栽培できる花。

シャスタデージーに出会うたび、それを生み出すために情熱を注いだ育種家に思いを馳せ、その美しさを堪能できることに感謝しています。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりしたら、その後は雨まかせでかまいません。雨が何日も降らず、土壌が乾いている際には水やりしますが、多湿を嫌うのでやり過ぎないよう気をつけます。花が終わったら、花茎の根元から切り取ります。梅雨に入る前に一度、全体を軽く切り戻すと株姿をきれいに保てます。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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