365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ペインテッドセージ
観光ガーデンで群生するペインテッドセージ。白、紫、ピンクの花色がありますが、どれも落ち着いた色みなのが魅力です。■属科・タイプ:シソ科の一年草
■花期:4月〜7月
■草丈:50〜60cm
パッと目立つのは色づく苞葉。その下に小さな花が咲いています
サルビアの仲間には○○セージと別名がつくものが多いのですが、今回ご紹介するペインテッドセージもサルビアの一種です。現在の学名はサルビア・ビリディスですが、旧学名のホルミナムでよく出回ります。地中海沿岸のエリアが原産地で、本来は宿根草なのですが、高温多湿に耐えられないため、日本では一年草扱いとされています。
コバルトセージ、ボッグセージ、チェリーセージなど、この連載でもいくつかのサルビアを紹介してきましたが、どれも咲き出すのは5月以降で、本領を発揮するのは初秋。4月から咲き出すサルビアは意外に少なく、個人的にはペインテッドセージは、その年初めて出会うサルビアではないかと感じています。
4月〜5月にかけては、花壇もさまざまな花でボリュームアップし、多くの種類の花木も花を咲かせます。そのせいかペインテッドセージの存在はあまり目立たず、いまひとつ認知度が低いのが残念でなりません。
ペインテッドセージのいちばんの魅力は、茎の上部に華やかな色の花が咲くことです。
じつは先端で色づいているのは、花ではなく苞葉なのです。苞葉の下のほうに蕾が並んでいるように見えるのですが、これが花! 小さくて目立たないので見過ごされがちなのですが、これがとてもかわいらしく、私はペインテッドセージを見つけると、小さな花まで愛で、写真を撮るようにしています。
寄せ植えなどで利用されることの多いペインテッドセージですが、私がよく訪ねる長野県の観光ガーデンでは、毎年、チューリップが終わると、その花壇全体にペインテッドセージを植えます。ペインテッドセージが群生する景色はなかなか見られず、華やかながら落ち着き感のあるしゃれた色彩を眺めるのを楽しみにしています。素敵なサルビアをもう1種、ぜひ覚えておいてください。
栽培の難易度
日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりしたら、その後は雨まかせでかまいません。土壌が極端に乾いたときには水やりしますが、過湿が苦手なので、水をやりすぎないように気をつけます。追肥も必要ありません。花と苞が茶色くなってきたら、花茎の根元から摘み取ると、わき芽が成長して次の花が開花します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。