新習慣「母の月」に贈る 進化する「カーネーション」で贈り花の新世界 第4回(全5回) 初夏の陽気に、色とりどりの切り花が店先に並び、ひときわ花贈りが楽しい5月。花を贈る風習は、今や「母の日」一日のものでなく、1か月間の楽しみへと広がりを見せています。なかでも「母の日の花」といわれてきたカーネーションが、色も形も麗しく、進化しているのをご存じですか? 見慣れた花とは印象を一新した個性あふれる品種が続々登場して、今や、美しいブーケやアレンジメントに欠かせない存在になりつつあります。カーネーションの最新事情と、人気フローリストによる贈り花の新世界へご案内しましょう。
前回の記事はこちら>> カーネーション使いの名手が披露する
人気フローリストの贈り花
カーネーションそれぞれの品種が持つ個性を、自らのスタイルの中で最大限に引き出す技を備えたフローリストを3人ご紹介します。
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「フルール トレモロ」藤野幸信さん・
「ジャルダン ノスタルジック」青江健一さん・宙花~sora hana~戸部秀介さん※4/21公開
彼らが作る贈り花の、心が震えるほどの美しさをご堪能ください。
思い出の庭の記憶が甦る自然な景色を贈り花で表現
「ジャルダン ノスタルジック」青江健一さん
落ち着きのある花色を集めた高級感あるパリ風ブーケロン。ダークな花色や少しくすみのあるバイカラーのカーネーションを集め、クラシカルな雰囲気のブーケロンに。明るい色調の華やかさとは一線を画す、シックで高級感のある贈り花に。カーネーションは5種も使い、バラ、スカビオサ、ライラック、クレマチスなどを合わせ、スモーキートーンのユーカリでさらにアンティーク感を高めて。約2万円。上のブーケで使った主なカーネーション店名はフランス語で「懐かしい庭」という意味。ブーケやアレンジを見たときに、そのかたにとっての懐かしい庭が甦るような贈り花の制作を心がけています。今では自生する景色を見かけることがないカーネーションですが、最近の品種には、庭に咲く光景を想像しにくいというマイナス面を払拭して余りある、すごい魅力があります。
野に咲くカーネーションをイメージし、原産地の地中海沿岸に育つオリーブやローズマリーと合わせたバスケットアレンジ。黒みのある赤のカーネーション‘ノーク’やベージュに赤の絞りが入る‘バイパー’を使用。咲き初めのスプレーカーネーションの横顔や蕾にも注目を。約1万5000円。決め手はしゃれた花色で、イメージぴったりの花色が見つけられるのがいいですね。よく利用するのはグレイやベージュを含むアンティーク感のあるものや一輪でさまざまな色を持つもの。懐かしい記憶につながります。
ビビッドトーンの輝く花色でありながら、どこかノスタルジックな雰囲気を感じさせるブーケ。修業していたパリのフローリストで人気だったスタイルをカーネーション‘セレヴィーヌ’、‘セレヴィーヌワイン’を使って再現。約1万5000円。またカーネーションは、よく観察すると花首や茎葉にかつて野に咲いていた頃の面影があり、古いポストカードや絵画を彷彿させます。あしらう際は、あえて蕾や横向きの表情を生かすこともあります。母の日に限らずいつでも飾りたいと思っていただけるように、カーネーションの新たな魅力を発信できたらいいなと考えています。
レトロな印象を生むくすみ系カーネーションの花形を生かしたブーケ。まるで古典絵画のような趣。約1万5000円。青江健一/Kenichi Aoe
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科を卒業。2008年に渡仏しフローリスト養成校修了後、パリで4軒のフローリストで研修。2012年に東京・神楽坂にショップをオープン。 Information
ジャルダン ノスタルジック
東京都新宿区天神町66-2 高田ビル 1階
- 注文は5日前までに連絡を。来店、電話、インターネット、FAXで注文可能。全国発送可。送料別途。 ※商品の価格は通常時の参考価格です。なかでも「母の日」前後は切り花が高騰することがあります。注文日によって価格が変動しますので、お店にお問い合わせください。
〔特集〕進化する「カーネーション」で贈り花の新世界
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詳しくはこちら>>> 撮影/本誌・西山 航 スタイリング/阿部美恵 取材・文/高梨さゆみ 写真/青江健一
『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。