初代誕生から50年語り継がれる ロイヤル オークの伝説
何から何まで「見たことのない腕時計」だったロイヤル オーク。語り継がれる伝説的なエピソードの多さも、この時計の魅力です。
八角形のモチーフは潜水士のヘルメット
ロイヤル オークの八角形のデザインは、デザイナーのジェラルド・ジェンタ氏が幼き日にジュネーブのポン デラ マシン橋で見た潜水士のヘルメットがモチーフであると、晩年のインタビューで明らかになりました。
ヘルメットに水が入らないように力強く締められた8つのボルトを腕時計で表現し、時計史に残る傑作を生み出したのです。
ゴールドケースより高額なSSケースとして誕生
上はロイヤル オーク誕生時の広告に使われたポスター。セールスポイントにも「ゴールドより高いステンレススティールの腕時計」と謳われています。
ちなみに初代ロイヤル オークのSSケースの価格は3300CHF(スイスフラン)で、同時期のゴールドケースが2990CHFであったことからも、いかに高額であったかがわかります。
今、最も入手しづらい時計といわれる理由
その継続的な人気の高さも影響していますが、ロイヤル オークが入手しづらい時計といわれる一番の理由は大量に作れない製作工程の複雑さにあります。
例えば時計ケースのエッジ部分を磨く作業の工程数は162、八角形のベゼルだけでも70以上あり、時計の外装の仕上げには10時間以上が必要です。大量に「作らない」ではなく「作れない」のです。
表示価格はすべて税込みです。
撮影/Fumito Shibasaki 〈Donna〉 構成・文/市塚忠義
『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。