ここでしか味わえないひと皿で魅了する 世界一美味しい日本のイタリア料理 第5回(全10回) 特別な日にはエレガントなリストランテの料理、日常では気軽にパスタやピッツァやドルチェ……。ここまでバラエティに富んだイタリア料理を楽しめるのは、世界において日本だけかもしれません。時代ごとのムーブメントを積み重ねながら、確実に進化している日本のイタリア料理。その現在地に迫ります。
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今や東京のイタリア料理界で欠かせない存在となった、ハイブランドが展開するリストランテ。異国である日本で、さらなるイタリア料理の高みを目指す気鋭シェフを訪ねました。
今の時代を感じさせるイタリア料理を
「アルマーニ/リストランテ」カルミネ・アマランテさんカルミネ・アマランテさん ナポリ出身。イタリア、スペインのファインダイニングを経て、2018年来日。「ハインツ・ベック東京」のシェフとしてミシュランガイド東京の1つ星。20年より「アルマーニ/リストランテ」のエグゼクティブシェフに就任。22年ガンベロ・ロッソの「シェフ・オブ・ザ・イヤー」に。カルミネ・アマランテさんがエグゼクティブシェフに就任したのは2020年8月。以来取り組んできたのは、“改革”でした。
「開業して13年が経過したリストランテをアップデートしつつ、アルマーニというブランドイメージを守るのは、時間を要する大変な作業でした」。
具体的にはより明確なコンセプトを打ち出しました。イタリアの伝統を出発点に、コンテンポラリーなビジョン、つまり高度な技術を駆使した複雑で奥行きのある味わいを提供するファインダイニングであるべし、と。
そして、故郷ナポリの体験を個性として皿上に反映させます。しかし、必ずしもナポリ料理にこだわるわけではありません。
「私が心がけるのはイタリア全体を俯瞰した料理。イタリアの思い出を楽しんでもらいたいと思っているのです」。
ミラノの伝統料理、サフランのリゾット。九州産のサフランを使用。日本の旬の素材、とりわけ魚と野菜を用い、日本の料理の技も積極的に取り入れています。魚を酒と醬油でマリネして備長炭で焼くのもその一例。
ひらめに塩をし、2枚を重ねて一晩おいた後、ロースト。中はうっすらピンク色でほどけるような食感が特徴。イタリアと日本の食文化を融合させながら、イタリアを感じさせる現代的な味を作り出すことが、アマランテさんの目指す世界なのです。
アルマーニ/リストラ東京都中央区銀座5-5-4
アルマーニ/銀座タワー10階
TEL:03(6274)7005
営業時間:11時30分~14時(LO)、18時~20時(LO)
月曜定休
ランチコース7500円~、ディナーコース1万5000円~ 要予約
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/池田愛美 ※本特集でご紹介するレストランの料金には、別途サービス料がかかる場合がございます。予めご了承ください。
『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。