天野惠子先生のすこやか女性外来 第12回(04)日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する全国・女性外来を紹介します。
前回の記事はこちら>> 【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
岡山中央病院セントラル・クリニック伊島 ウィミンズメディカルセンター センター長 金重恵美子先生
●前回の記事
更年期の物忘れは、認知症とは違います対話をベースに、心を癒やして体を治す医療を実践
更年期世代も若者も、女性に“健康力”を
金重恵美子先生(かねしげ・えみこ)岡山中央病院副院長、セントラル・クリニック伊島院長。1976年岡山大学医学部卒業。同大学医学部附属病院等を経て1986年より岡山中央病院勤務。1999年ウィミンズメディカルセンターを開設しセンター長に。思春期、妊娠・出産、更年期など女性医療全般にかかわり、治療だけでなく病院内外で病気予防と健康増進を支援。対話の中から探す解決法。心が楽になれば不調も改善
一生を通して女性の健康を支援しようと岡山中央病院に開設されたウィミンズメディカルセンター。
壮大な陶板壁画「生命の輝き」に心が癒やされる(岡山県出身の陶芸家・白石正子さんの作品)。その外来部門を担うセントラル・クリニック伊島の4階には産婦人科、外科、女性泌尿器科、女性消化器内科、心療内科が集まっています。
センター長の金重恵美子先生は長年、市民活動や女性学にも幅を広げ女性医療に取り組んできました。
金重先生を囲んで、婦人科の女性医師たち。診療では主に漢方薬やホルモン補充療法を用いながら、対話を重視。イライラ、不眠、うつなど更年期症状の多くは人間関係のストレスや思い込みが影響しているといいます。
「たとえば夫への不満や姑への苦手意識が伝わると溝は深まる一方です。お話の中から解決の糸口を探し、ちょっとした言葉かけで互いの心が癒やされ、症状も軽くなることがあるとお伝えします」。
MRI機器を用いた最新技術・無痛の乳がん検診を導入(岡山中央病院。自費)。骨粗しょう症の予防にも力を入れ、骨密度が平均より低かったり家族歴があるなどハイリスクの場合は、閉経後早めにホルモン補充療法を開始するのが有効だと考えています。
自分の体は自分で守る。若者にも知識と情報を
不調をきっかけに生活習慣を見直すことや、ヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい情報を入手し理解して活用する能力)を高めること。
このような“健康力”を若い世代にも身につけてほしいと、学校での講演や、体や性に関する悩みの無料相談窓口・ユースクリニックの活動にも力を注ぐ金重先生。
一般女性を対象に病気予防や健康管理に重点を置いた講座を開催。骨粗しょう症予防をテーマにした地域向け健康講座に多くの女性が参加した(2017年)。「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の概念が浸透し、すべての女性が性や体のことを自分で決め、守ることのできる社会を目指しています」。
Information
岡山中央病院セントラル・クリニック伊島 ウィミンズメディカルセンター
岡山県岡山市北区伊島北町7-5
撮影/本誌・伏見早織 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。