藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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主役花としておすすめのバラとシャクヤクを共演させた華麗なブーケ。ごく淡いピンクのシャクヤク‘三礼加’に合わせ、淡いピンクのバラ‘ディアリー’と濃いピンクのバラ‘ルージュベリー’を選びました。アクセントに加えた染めのマーガレット‘ドリームカシス’もこの時期に出回ります。2種のビバーナムを加え、ナチュラルなピンクの花束にしました。カーネーションだけじゃない!母の日に贈りたい「旬」の花
今年の母の日は5月14日。
『家庭画報』2023年5月号では「
進化するカーネーションで贈り花の新世界」として、魅力的なカーネーションを特集しています。私も香川県高松市の真鍋農園&香花園さんが生み出した‘ミナミ’シリーズ、カーネーションでは珍しい繊細なフリンジ咲きの‘シャララ’シリーズを使って贈り花を制作していますので、ぜひ参考にしてください。
毎年、母の日の贈り花をたくさん制作しますが、カーネーションにこだわらず、季節の花を使って、というオーダーも多くいただきます。そこで、今回は「母の日の贈り花に利用したいおすすめの主役花」をご紹介します。
華やかな存在感「バラ」お母さまは「ローラ・アシュレイ」が大好きと伺って、そのイメージでピンクのバラ2種をメインに束ねました。大輪は‘ジョリートレンドセッター’、小輪のスプレーバラは‘ロングウッズ’。カーネーション‘シルクミナミ’でボリュームを出し、白いアストランティア、カラスムギ、アルケミラモリスなどをたっぷり加え、庭で咲いているような自然な雰囲気に。お母さまがファッションで好む色やブランド、または楽しまれている趣味などを教えていただけるとイメージがわきやすく制作の大きなヒントになります。ほどよくくすんだピンクと外弁のグリーンからのグラデーションがとても美しいバラ‘ジョリートレンドセッター’。エレガントなバラはどなたに贈っても好印象です。かわいらしい蕾もぜひ生かしたい!いちばん利用するのはやはり、バラです。ちょうどこの時期は多くの品種が揃うので、イメージに合うバラをみつけやすいと思います。主役花として華やかな存在感があり、バラが加わるだけでエレガントな雰囲気がぐっとアップします。バラが好きなお母さまには、たっぷりとバラを加えて、またナチュラルな雰囲気が好きなお母様にはフレッシュグリーンとバラを合わせて、と贈りたい方の好みに合わせた使い方ができます。
季節感をアピールできる「シャクヤク」シャクヤク‘輪舞’とバラ‘ブロッサムピンク’。2種の美しいピンクをメインに、ニュアンスのある柿色のカーネーション‘ペシモンミナミ’と青花のラクスパー‘カンヌブルーピコティ’を加え、多色合わせの華やかなブーケに。ピンクにブルーを加えると、一気に大人っぽいエレガントな雰囲気に変わります。カラスムギやホウチャクソウ、キイチゴ‘ベビーハンズ’をたっぷりと加え、自然の中で咲いているような雰囲気に仕上げました。おすすめ主役花の2つめは、シャクヤクです。出回り時期がほぼ初夏に限られているため、バラにはない季節感をアピールできる花です。バラよりも花が大きく、しかもふんわりと軽やかで、「うわー!素敵」とお母さまを驚かせることができる花だと思います。大きなボール状の蕾もかわいらしく、それが徐々にふんわりと開いていく過程がまた魅力的です。
落ち着いた雰囲気がお母さま世代に人気の「クレマチス」美しいうえに落ち着いた雰囲気のあるクレマチスも人気。‘ザ プレジデント’と‘ザ ベルベット’の2種のクレマチスに、カーネーション‘ムーンダスト アクアブルー’やスターチス‘シースルーブルー’、ライラックと、濃淡の青紫を集めてアレンジに。緑色のクリスマスローズ、キイチゴ‘ベビーハンズ’、スペアミントなどをあしらってフレッシュな印象に仕上げました。もう一つ、季節感が伝わる花として、クレマチスもぜひおすすめしたい花です。ちょうど庭でもクレマチスが咲き始めていますが、パッと花弁を開いて咲く大輪花、かわいらしいベル型など、クレマチスにはさまざまな花形があるのも魅力です。バラやシャクヤクとは異なる落ち着いた雰囲気もあって、お母さま世代にはとても人気があります。
「カラー」や「アジサイ」、「スカビオサ」もおすすめほかにも、モダンでクールな印象があるカラーや、鮮やかな青紫が印象的なアジサイもこの時期に出回るので、ぜひ利用したいおすすめ花です。また、切り花では冬から出回っているスカビオサも、庭で咲き出すのはちょうど母の日のころ。かわいらしいことこのうえないスカビオサも、ぜひ主役として利用してみてください。
贈る際に気をつけたい2つのポイントさて、母の日の贈り花で気をつけていただきたいことを2つ。一つは「贈り花のスタイル」です。ブーケとアレンジがあり、どちらもフレッシュな状態で届くように水もちの工夫をしています。ご在宅の確認が取れていれば、どちらでも大丈夫ですが、サプライズでお届けしたいときなどは、より水もちのよいアレンジにしておいたほうが安心です。
もう一つ、「花を贈る時期」ですが、母の日当日着指定だと宅配便が込み合うことから遅れてしまう可能性があります。母の日の少し前にお届けするなど、当日を避けたほうが確実に届くと思います。
最近では5月を母の月ととらえる方も多くなっていて、当日着にこだわるより、確実に新鮮な状態で届くことを優先させる方も増えて、花屋としてはありがたい限りです。お母さまへの感謝がまっすぐ伝わるよう、今年も気持ちを込めて制作した贈り花をお届けできるようにがんばります。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。