ひときわ大きな花が目を引くモクレン‘サヨナラ’。このふっくらとしたふくよかな花はモクレンならではの美しさ。別れのあいさつを名に持つモクレンに魅了され
30種類ものマグノリアの中で、ひときわ存在感を示すのが、ごく淡いクリーム色に少しピンクを帯びた大きな花をたわわに咲かせるモクレンの‘サヨナラ’です。
これはヒマラヤに自生するキャンベリー種とシモクレン、ハクモクレンなどの交配から生まれた品種。
大きな淡クリーム色の花が、別れの際にふるハンカチーフに似ていることから‘サヨナラ’と名づけられたそうで、学名でもMagnolia‘Sayonara'となっています。一度聞いたら忘れられない品種名、とても素敵な命名ではありませんか。
モクレンには珍しい黄花品種の‘エリザベス’。黄花といっても上品なクリーム色で優しい印象が魅力的。淡い黄色のドレスのような優雅な花‘エリザベス’
もう一つ、モクレンの注目の品種が‘エリザベス’です。これはモクレンのイメージを覆す黄花品種。アメリカに自生するアクミナータとの交配から生まれた新しい品種です。まるで淡い黄色のドレスのような優雅な花は本当に魅力的です。
シモクレンとハクモクレンの交配種‘アレキサンドリア’は、花弁の内側は白く、裏側から見るとピンクから紫がかった花色。モクレンより少し遅れて開花するコブシもまたエレガント。
モクレンより花が少し小さめで、花びらがスマートで枚数が多く、繊細な印象が魅力的なのがコブシです。
ごく淡いピンク色が愛らしいシデコブシの園芸品種‘キングローズ’。コブシに比べると花びらの枚数が多く、さらに繊細な印象。コブシにも交配種が多くあり、淡いピンクの‘キングローズ’や‘バレリーナ’など八重咲きに近いものもあり、連れた帰りたくなるほど愛らしい花姿を楽しませてくれます。
コブシとシデコブシの交配品種‘バレリーナ’は、波打つ花びらが特徴。開花と同時に芳香も楽しめる。サクラより早いお花見旅、ぜひおおらかな幸福感に満たされるマグノリアの庭へどうぞ。
マグノリアの開花期間の週末には、専属のガーデナーによるガーデン見学ツアーも開催されます。品種の解説や栽培方法のアドバイスもしてくれるので、マグノリアを庭木にしたいとお考えの方は、ぜひ参加してお気に入りの1本を見つけてください。
Information
京王フローラルガーデン アンジェ
東京都調布市多摩川4-38
高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
ガーデニングエディター
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。