混沌の中に見る人間愛
©Rob Walbers作曲家、プロデューサーとして、日本のポップミュージックシーンで注目を集めるYaffle(ヤッフル)。時代に敏感な人々の感性に響く先鋭的かつ洗練された楽曲は、藤井 風をはじめとするアーティストに影響を与え、また多くの聴衆を魅了してきた。
Yaffleは高校時代に吹奏楽部でファゴットを吹き、音楽大学では前衛的作風で知られる作曲家、川島素晴に学ぶなど、クラシックの素地を持つ。
そんな彼が、近年ポスト・クラシカルのジャンルにも力をいれるクラシックの名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからアルバムをリリースした。
コンセプトは「混沌のなかのヒューマニズム」。白夜のアイスランドに長期滞在し、現地アーティストとのコラボレーション作品も収録した。
ラケルの澄んだヴォーカルが暗示する、破壊後に訪れる再生の光の兆し。シーズトーンが歌う、やりきれないほど強い孤独への共感。
パンデミックや戦争により、重苦しい空気とともにスタートした2020年代、今Yaffleが伝えたい“人間性への愛”が音楽に託されている。
自らの経験や音楽的背景をジャンルレスに活かして生んだ肌触りの良いサウンドで、聴く者を包み込む。
Yaffle(ヤッフル)東京都出身。作曲家、編曲家。TOKA設立メンバーの一人で、藤井 風やiri、SIRUP、小袋成彬、Salyu、eill、adieuなどの楽曲をプロデュース。映画音楽も手がけ、サウンドトラックを手がけた映画『えんとつ町のプペル』では第49回アニー賞最優秀音楽賞にノミネートされた。 編集部おすすめ
[CD]
Yaffle『After the chaos』
UCCG-1898 3300円Yaffle自身のソロ・ワークスとして2作目となるアルバム『After the chaos』は、クラシックの名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからリリースされた。アイスランド、レイキャビクのスタジオに長期滞在して収録した楽曲の一部は、現地の注目アーティストたちとのコラボレーション作品。
帰国後、ヴァイオリンの石上真由子やクラリネットのコハーン・イシュトヴァーンなど、クラシック界の気鋭アーティストたちともレコーディングを実施した。レディオヘッドやシガー・ロス、エルガーやヴォーン・ウィリアムズをこよなく愛するYaffleのこれまでの歩みを映し出す、ジャンル・クロスオーヴァーなアルバム。
[収録曲]「Stay in the light ft. RAKEL」
「as a human」
「Alone ft. CeaseTone」
「From Me To You」
「Storm ft. KARÍTAS」
「Empty Room ft. Benny Sings-rework」ほか
[詳細]URL:
https://Yaffle.lnk.to/Afterthechaos 表示価格はすべて税込みです。
構成・文/高坂はる香
『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。