がんまるごと大百科 第5回【検査・診断編】(02) がんが疑われたとき、医師の診察とともにさまざまな精密検査が始まります。これはがんの正しい診断や適切な治療選択のために欠かせない重要なプロセスです。どのような目的のもと、どんな精密検査が行われるのか理解しておきましょう。
前回の記事はこちら>> 診断や治療選択に欠かせない検査の重要性を理解する
小林 望先生(こばやし・のぞむ)国立がん研究センター 中央病院 検診センター センター長。三重大学医学部卒業。国立がんセンター中央病院内視鏡部、栃木県立がんセンター画像診断部、消化器内科科長・内視鏡センター長を経て、2021年より現職。国立がん研究センターがん対策研究所検診開発研究部部長を兼務。内視鏡検査や画像検査でがんの存在を確認する
がんが疑われる場合、精密検査で最初に行われるのはがんの存在を確認することです。その検査方法には内視鏡検査や画像検査(CT検査、超音波検査など)があります。
ただし、「検診や人間ドックを受診してがんの疑いを指摘されたときはこの確認が終わっていることも多いです」と小林先生は説明します。
例えば胃がんの場合、人間ドックでは胃内視鏡検査を実施するのが一般的になっており、胃がん検診でも内視鏡検査を選択できることがあります。
「内視鏡で病変を直接確認する方法が最も精度が高く、内視鏡検査でがんが見つかった場合は病院を受診した時点ですでに診断がついているということになります」と小林先生。
一方、胃部Ⅹ線(バリウム)検査によりがんが疑われて病院を受診した場合は精密検査として内視鏡検査が行われます。
大腸がんでは一般的な内視鏡検査のほか、カプセル内視鏡検査も普及しつつあります。これは超小型カメラを内蔵したカプセル内視鏡を飲み込み、カプセル内視鏡が腸管内を通過する際、腸壁の状態を撮影し、専門医がその画像を解析するという方法です。
また、CTを撮影し、その画像情報から内視鏡検査の映像と類似した3次元画像を作り出す大腸CT検査という方法もあります。
「開腹手術による癒着や腸が長いために内視鏡検査ができない人には、このような体に負担の少ない検査法が開発されています」。
そのほか、肺がんではCT検査を、乳がんではマンモグラフィー検査や超音波検査を実施してがんの存在を確認していきます。