「Margiela : Les Années Hermès」展のポスタービジュアル。白はメゾン・マルタン・マルジェラを、オレンジはエルメスを表している。Margiela : Les Années Hermès」(「マルジェラ・エルメス時代」展)/装飾芸術美術館(MAD)
もう一つは、装飾芸術美術館(MAD)で開かれる、「Margiela : Les Années Hermès」(「マルジェラ・エルメス時代」展)です。
こちらは、マルタン・マルジェラがエルメスのデザイナーを務めた1997年から2003年までの時期に関する展覧会です。昨年、ベルギーのアントワープのモード博物館(MoMu)で開催されて大好評だった展覧会の、パリ展です。
エルメス2002−2003秋冬コレクションから ©️Marina Faust6年間にわたって、エルメスの12回のコレクションで発表したルックに加えて、この展覧会のために撮られたショートフィルムや、エルメスのコレクションと同シーズンに、マルジェラ自身のメゾンMMMで発表したアイテムを並べて展示するなど、とても面白い踏み込んだ展示内容です。
アバンギャルドで脱構築的なデザインで知られていたマルジェラが、伝統やエレガンスを象徴するエルメスのデザイナーに着任した時にファッション界に与えた衝撃は、大きなものでした。動きの自由や着心地の快適さを最高の素材とクチュールで実現させた、マルジェラならではのエルメスらしさを表現した作品の数々は、今見ても、時間を超えた見事さです。
(左)メゾン・マルタン・マルジェラ 1996−1997秋冬コレクションから。(右)エルメス1998―1999秋冬コレクションから ©️Studio des Fleurs「Margiela : Les Années Hermès」(「マルジェラ・エルメス時代」展)場所 Musée des Arts Décoratifs (MAD) 装飾芸術美術館
107, rue de Rivoli 75001 Paris
電話 +33 (0)1 44 55 57 50
会期 2018年3月22日〜9月2日
開館時間 11時〜18時(火曜、・水曜、金曜〜日曜)、11時〜21時(木曜)
閉館日 月曜
入館料 11€
公式サイトこのように、同一人物をテーマにした展示会でも、この2展はアプローチも、掘り下げ方も違います。両方を見ることで、マルジェラの凄さを、そして「人間の存在に一番近いアート」ともいえるファッションの面白さを堪能できるに違いありません。