島の時間に身を委ねて、「暮らすように過ごす」滞在を
「星のや竹富島」の客室はいずれも、庭に向かって大きく窓が開いたのびやかな造り。エアコンはつけず、窓を開けたまま終日過ごしたいもの。島の面積は約5.4平方㎞。人口はおよそ350人という竹富島。石垣島のフェリーターミナルから10分ほどで着くこの島は、かつて司馬遼太郎に「東シナ海に浮かぶ夢のような島」と称されたほど。そんな独自の文化に満ちた竹富島の暮らしは、「4番目の集落」ともいわれる「星のや竹富島」でも味わうことができます。
白い珊瑚の壁、平屋造りの屋根は赤瓦。その上からはシーサーが見守ります。この伝統的な竹富島スタイルの一軒家こそがゲストの宿泊処です。およそ50軒の家々が点在する様子は、確かに集落のよう。珊瑚の道をさくさくとお散歩すれば、そのまま白いビーチに出ることもできます。
客室(というか家ですね)に入り、庭に面したガラス戸をすべて開けると……。一気に島の時間が流れ出します。ふわっと通り抜ける風の、なんて気持ちの良いこと! その中を裸足でぺたぺたと歩く幸せ。身体中がほどけていくのがわかります。両サイドに遮るもののないバスタブに入れば、風の流れをより感じることができます。ときおり聞こえる、賑やかな鳥の声。そしてまたゆるやかな風。これからどんな夕方の、そしてどんな朝の風景に巡り合うことができるのでしょうか。
客室のベストポジションを占めるのは、南向きに置かれたバスタブ。大きく張られた梁は竹富島のスタイル。庭のプールを望む集いの館「ゆんたくラウンジ」では、三線(さんしん)の演奏や踊りなどが披露されるほか、ムーチーやポーポーなどの沖縄おやつも供されます。「星のや竹富島」を訪れるなら、ぜひ2泊3日で。1日は敷地の中でゆっくりと楽しんで。そして2日目は島の集落まで出かけてみましょう。おすすめは、島にフェリーが着く前の朝のひととき。「星のや竹富島」宿泊客専用の朝の水牛車観光を利用して、静けさに包まれた集落にお邪魔してみましょう。
水牛ならではのゆっくりとした速度は、まるで島に流れる穏やかな時間のよう。三線演奏も交えながら、案内してくださるおじいのお話も、また面白く、興味深いことばかり。この島のことをもっと知りたい、もっと感じたい! そんな思いに駆られます。果てしない魅力に満ちた竹富島。まだまだ知らないこと、体験したことのないことが限りなくある幸せを、思わずかみしめてしまいます。
自転車にのって島のビーチを巡るのもおすすめ。コンドイ浜では愛らしいこんな風景に出会えるかも。 ハイビスカスの咲きこぼれる集落の中を、ゆっくりと水牛車が通り過ぎていきます。本日の担当水牛はベテランのゆうこちゃん。絶妙のコーナリングに感動!★「星のや竹富島」のおすすめ味土産竹富島の白い小さな花々からとれた、とろりとした琥珀色のはちみつ。「竹富はちみつ」は現地でも希少な一品です。1瓶8000円(税別)。
取材・文/露木朋子 撮影/西山 航