365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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青花ホタルブクロとして出回るカンパニュラ・サラストロ。細長いベル型の花は美しく、とても個性的です。鮮やかな青紫色も印象的。■属科・タイプ:キキョウ科の宿根草
■花期:5月下旬〜7月
■草丈:30〜80cm
細長いベルの中にはホタルが隠れている?
ベル型の花を見るとかわいらしくてたまらない。と、何度もここに書いてきましたが、ベル型の中でも、花が大きく、縦に長いのがホタルブクロです。
カンパニュラの1種で、カンパニュラ・プンクタータと呼ばれる基本種のほか、朝鮮半島に自生するカンパニュラ・タケシマナ、青花ホタルブクロの名前で出回るカンパニュラ・サラストロなどがあります。いずれも細長いベル型の花を咲かせることに変わりはありません。
ホタルブクロの名前は、花の中にホタルが隠れていそうなことからついた名前ですが、ゲンジボタルが活動するのは5月下旬〜6月中旬、ヒメボタルは6月中旬〜7月中旬で、ホタルブクロの開花時期とたしかに合致します。
ホタルが隠れていると言い出したのは誰かはわかりませんが、なんともロマンチックな想像だなと感心します。ホタルが自生する環境で暮らしたことのない私には、下向きに釣り下がる花姿が、ロングドレスを着ている妖精に見え、なおのことこの花が愛らしく見えます。
観光ガーデンでもこの時期にはホタルブクロが咲いているのをよく見かけますが、ほかのカンパニュラに比べると性質が丈夫で、年々大株になるのもよく利用される理由の一つです。
とくにハイブリッドの園芸品種は、暑さに強く改良されているので、個人邸でも比較的容易に栽培できます。たくさんの花が咲く様子はとてもフォトジェニックなので、散歩道でもホタルブクロを見つけて写真を撮れすといいなと願っています。
栽培の難易度
日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。高温多湿が苦手なので、夏に気温が高くなるエリアでは、木陰や明るい日陰に植えてもかまいません。ホタルブクロは年々株が大きくなるので、隣の植物と間隔をあけて配置するようにします。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりしたら、その後の水やりは雨まかせでかまいません。終わった花がらは随時摘み取り、黄色くなった葉も摘み取ります。耐寒性が強いので、温暖地ではとくに対策をしなくても冬越しできます。秋と翌春に緩効性肥料を施します。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。