藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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長野県・南信州産のライラックをたっぷり使い、初夏の爽やかなパープルアレンジに。マム‘セイマノア’、シャクヤク‘ホワイトアイボリー’、スズラン、リューココリーネ、クレマチス‘ソシアリス’を合わせ、アスパラガス・スプレンゲリーの繊細な葉をあしらいました。甘くロマンチックな香り。短い「旬」だからこそ季節感が伝わります!
英語でライラック、フランス語でリラ。皆さまはどちらの名前で覚えていらっしゃるでしょうか。お客さまから「リラの花を加えて〜」と仏名でご指名をいただくこともよくありますが、花市場ではライラックで出回ることが多いので、ここでは英名でご紹介します。
日本ではライラックは4月〜5月が花期で、涼しい気候を好むため、長野県や北海道が産地として知られています。札幌市では市木に制定されていて、大通公園には紫系約370本、白花約30本、計約400本ものライラックが植えられています。毎年5月中~下旬に「さっぽろライラックまつり」が開催されますが、花の時期にぜひ一度訪ね、美しい花とすばらしい香りのシャワーを浴びてみたいとずっと考えています。
切り花でも4月〜5月が出回り時期ですが、約1か月というのはとても短く、それゆえに「旬」をより強くアピールできるのが、贈り花にライラックをよく利用する理由です。いや、それ以前に個人的にとても好きな花木というのもありますが……。
この花が店にある期間、なんとも優雅でロマンチックな香りが漂い、その魅惑的な香りをかいでいるだけで気持ちが明るくなります。このすばらしい香りを多くの方に届けたいという思いから、贈り花にライラックをついつい加えてしまうのかもしれません。
濃淡パープルのライラックのみでブーケを制作。蕾は色濃く、開いていくとともに淡くなっていく美しいグラデーションを楽しめるのは、ライラックのみのブーケならでは。シックでエレガントなライラックブーケ、贈り花にいかがですか?昔からライラックが庭木としてよく利用されているフランスでは、ブーケやアレンジにもライラックをふんだんに使います。フランスの雑誌やSNSなどでブーケやアレンジを見ると、脇役でなく、完全にメイン扱いで、それがうらやましくてしかたありません。それで、オーダーをいただいたわけでもないのに、ライラックだけでブーケを制作して、店内に飾ってみると、どこかフランスっぽいしゃれた雰囲気で、やっぱり素敵な花木だとあらためて魅力を感じています。
ライラックは蕾の状態で入荷しますが、花が開いてくるとその姿もたまらなくかわいらしい!花好きな方やフランス好きな方には喜ばれると思うので、ぜひライラックをメインにした贈り花にもトライしてみてください。ライラックというと爽やかな青紫の花色が思い浮かびますが、大人っぽい紫色やしゃれた雰囲気の赤紫〜ピンク、また清涼感のある白花と、意外にバリエーションがありますよ。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。