笑福亭鶴瓶さんが語った「お洒落と笑顔と篠山紀信。そして落語」

「ポンチョみたいなの、好きなんですよ」と鶴瓶さんを上機嫌にさせたのは、日本人デザイナー、相澤陽介さんのブランド「ホワイトマウンテニアリング」の大判ストール。民族調の柄が楽しいダブルジャカードニットでコットン100㌫。縦横にストレッチのきくパンツははき心地抜群です。ストール2万4000円　ニット2万3000円　パンツ2万5000円　靴3万2000円／すべてホワイトマウンテニアリング　ソックス／スタイリスト私物

巨匠・篠山紀信さんとの撮影は「顔も若くなる」？

鶴瓶さんにとって、篠山紀信さんとの撮影は今回が2度目。「前回は2回くらいしかシャッター切ってなかったけど、ええ写真やった」といい、絶大な信頼を寄せていました。


「篠山さんには“これじゃないとダメ”というのはないんだと思いますね。僕らもそうだけど、頭から決めつけちゃったら、うまくいかないんですよ。篠山さんは、その場の空気や服も含めて相手を見て、やっぱりこの人はこういう動きがいいなとか考えて、どんどんつくっていく。僕も撮影の途中で写真を見せてもらって、これええわ！と思ったら、どんどん変わっていく。

スタジオに来たときはこんなん想像しませんやんか？　跳んだりはねたり。でも、跳ぶことで違う自分が出るんでしょうね。顔も若くなるし。(プリントアウトしたばかりの写真を見ながら）この顔なんか若くてええ顔でしょ？　自分でいうのもなんやけど（笑）。

実は僕、少し前に前立腺のほうで検査入院してたんです。もう全然大丈夫なんですけど、今日はおむつしてたんですよ。跳んでるときにおしっこが出ても大丈夫なように。思い切りやりたかったからね。そんなんで、こんなええ写真ができました」

笑いながらの思いがけない告白に、芸人魂を感じて一同感動！　篠山さんもびっくりしていました。そして翌日、鶴瓶さんのインスタグラムには、篠山さんと仲良く肩を組んだ写真がアップされました。

落語家のスイッチを入れた「六人の会」

目下、落語家としての活動を何より大事にしているという鶴瓶さん。きっかけは春風亭小朝師匠から声をかけられたことでした。

「小朝、(立川)志の輔、(春風亭)昇太、(林家)正蔵、(柳家)花緑、僕の『六人の会』を作るからやりなさいといわれ、スイッチが入ったんです。大阪の噺家は僕だけで、しかも当時は噺家なんていえないような状態で、小朝さんが出た後にトリをとる。辛いですよ。誰の後に高座に上がっても、お客さんをこっちに向けさせないといけない。それを長い期間やって本当によかったなと思います」

真剣に語る鶴瓶さんは一年中、落語と向き合っているといいます。

「絶えず落語を作ってるんですよね。今年はお正月明けから作ってきた『徂徠豆腐（そらいどうふ）』という作品が15日にでき上がって、20日過ぎにネタおろししました。作るっていうのは、もともとある話を自分の形にすることです。大阪の話にしてね。自分でこれと決めて作り上げて高座にかける、というのが楽しいんですね。

一昨年作った『山名屋浦里(やまなやうらざと)』は実際にあった花魁と田舎侍の話で新作落語。(中村)勘九郎と七之介が僕の落語を聞いてやりたいといってくれて、歌舞伎にもなったんですよ。僕が落語をするのを、勘三郎はずっと反対してましたけどね。『あんたね、日常の話が面白いんだから、落語なんかしなくていいんだよ！』って。ほっとけ、いうてね(笑)。

『山名屋浦里』はタモリさんが『ブラタモリ』で吉原に行って聞いてきた話がもとになってるんです。『これ落語にしてよ』っていってきたときは、東京の話だし東京の噺家に頼んだらというたら、あんたじゃないといややって。なんでやって聞いたら、『あんたは実際にあった話を日常でよくしゃべってるじゃないか。そういう人でないとこれは作れない』っていうから、作ったんです。その経験は『徂徠豆腐』にも生きています」

たくさんの楽しい話とともに、落語家としての熱い思いも伺えた貴重なインタビューでした。