ささゆり庵 小角(おづぬ)(奈良・宇陀市)
囲炉裏のある部屋からの眺望は、まさに「天空」という言葉がふさわしい絶景。広めにとられた縁側で、自然の気を受け取りながら座禅、ヨガ、瞑想と思い思いの時間を過ごしたい。静寂を楽しむリトリート
自然の息づかいが感じられる空間で、ゆったりとした時間の流れに心と体をゆだねる。この地でしかできない体験も滞在の醍醐味です。
日常の喧騒から離れ天空の庵で心身の休息を
奈良県宇陀市にある一棟貸しの宿「ささゆり庵」。棚田が広がるのどかな風景を見ながら小高い丘を上ると、茅葺き屋根の一軒家「小角」が姿を現します。2年の歳月をかけ建てられた新築の茅葺き家屋には近代的設備が完備され、心配りのゆき届いたしつらいもまた、快適な滞在を約束してくれます。
宿の自慢は、何といっても目の前に広がる絶景です。手前には枯山水の庭があり、松越しに室生赤目青山国定公園の峰々を望むことができます。雲が流れ、雲海の彼方に稜線が現れる──刻々と移りゆくダイナミックな景色は、旅人の心を魅了してやみません。
「眺めていると現実感が薄れていくように感じます。こんな景色を見られる宿はほかにないですね」(推薦者・工藤憲二さん〈写真家〉)。
季節ごとに違った表情を楽しめますが、庵主の松林哲司さん曰く、特におすすめは冬だとか。「音がまったくない世界。静寂に包まれます」。天空の庵には、日常の喧騒とは無縁の時間が流れています。
新築の茅葺き家屋と蔵から成る「小角」。門をくぐり、手入れのゆき届いた庭の小道を辿ると、滞在への期待が高まる。敷地内には移築された100年前の茶室もあり、茶庭、日本庭園、枯山水石庭と趣の異なる3つの庭を堪能できる。左・入浴時間も贅沢に庭の景色を独り占め。信楽焼の壺風呂に、奥大和でとれる日本古来の天然生薬を配合した薬用入浴剤を加えて。穏やかな香りと体を温める生薬の効果で、心身ともにリラックス。右・蔵の2階にしつらえられた寝室。円窓が切り取る景色はまるで絵画のよう。修験道行者の庵で体験する特別なアクティビティ
里山にあるプレミアムな宿でありながらどこか宿坊のような雰囲気が漂うのは、庵主の松林さんが厳しい修験道を極めた山伏という顔を持っているからでしょう。それもあって「ささゆり庵」ではひと味違ったアクティビティを体験することができます。
たとえば早朝の滝巡り。かつて忍者修行の地として知られた赤目四十八滝は宿から車で15分ほど。遊歩道を辿りながら清涼な空気に包まれた渓谷を進むと、さまざまな滝に次々と出合います。
聞こえるのは流れる水や木々を渡る風の音、そして鳥のさえずりのみ。「野生の世界に近づくことで自然の感性を取り戻すことができるはず」と松林さんはいいます。
また、敷地内に併設された護摩堂で護摩焚きを体験できるのも、この宿ならではの趣向です。「火には心を癒やし、内なる原始の本能を呼び覚ます力があります」。囲炉裏のゆらめく火を囲んで、大切な旅の仲間と語らう夕食の時間もまた、忘れられない体験となることでしょう。
一条の布をかけたように水が流れ落ちる布曳滝(ぬのびきだき)。山伏が吹く法螺貝(ほらがい)の音が響き渡る。願いを記した護摩木を焚き上げる「護摩」は、修験道の代表的な修法の一つ。左・室内に備えられた護摩木。「護摩」は、毎月27日に宿泊すれば28日早朝に護摩堂で無償参加可能。右・2連泊以上で松林さんに案内をお願いもできる。地元が誇るブランド牛「伊賀牛」ミスジのしゃぶしゃぶ(コース1名1万円)。敷地内の畑から届く新鮮な有機野菜もたっぷりと。また、奈良のミシュラン1つ星レストラン「万惣」のシェフによる出張料理も選択可。 Information
ささゆり庵 小角
奈良県宇陀市室生深野532
- 1棟6名までの利用で1泊朝食付き1名5万5000円~(サービス料込み、季節、曜日、人数により変動) IN15時~19時/OUT11時 各アクティビティは要予約