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アンリ・マティス創造の場、南フランス。「ニース市マティス美術館」へ

2023.05.24

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アンリ・マティス 希望の色と光 第3回(全6回) 世界中の人々の心を捉えて離さない20世紀を代表する画家、アンリ・マティス。作風や技法を常に変化させ、彫刻やステンドグラスを含め多くの作品を遺した偉大な芸術家が創作し、暮らした地を辿り、なぜ私たちがこんなにも彼の作品に惹かれるのかを探究します。前回の記事はこちら>>

[創造の場 南フランス]色と光に出合う


ホテル ボー リヴァージュ

“翌朝またこの光が見られると知ったとき、
私は自分の幸運が信じられなかった”



Quand j'ai compris que
chaque matin je reverrais
cette lumiére, je ne pouvais
croire à mon bonheur.
──Henri Matisse

マティスが初めてニースを訪れた際に投宿したホテル「ボー・リヴァージュ」からの眺め。部屋の位置は異なるが、滞在時にこのホテルの窓からの風景を描いた。●ホテル ボー リヴァージュ(Hôtel Beau Rivage)24 Rue Saint-François de Paule, 06300 Nice TEL:+33 4 92 47 82 82 https://www.hotelnicebeaurivage.com

マティスが愛した地で見る、画業の変遷


ニース市マティス美術館(ニース)

“灰色の地”北フランスで生まれ育ち、パリで絵を学んで画家となったマティス。コルシカ島やコルマールなどでの短期滞在を経験した後、1917年、48 歳でニースに辿り着き、85歳で亡くなるまで、ニースとその郊外の中世の町、ヴァンスで暮らしました。

ニースマティスが繰り返し描いた椰子の木が並ぶ海岸沿い。初めて訪れた際は悪天候が続いたが、その後人生を変えるほど美しい光に出合ったという。

マティスが最期を迎えたアトリエと、彼が眠る墓所のすぐそばに、ニース市マティス美術館があります。

ニース市マティス美術館(ニース)

クロディーヌ・グラモンさん(ニース市マティス美術館 館長)
パリでフリーランスのキュレーター、マティス研究者として活躍後、2017年に館長就任。

「マティスが訪れた頃、ニースは映画の撮影が盛んに行われ、ヨーロッパ各国からクリエイターが集まるインターナショナルで文化的な地でした。北フランスとは光がまったく異なることはもちろんですが、海があり、起伏に富んだ地形のニースと、平地が広がる北とでは、見える景色も大きく異なります。ここでは、どこにいても光の存在を感じます」と、ニース市マティス美術館館長のクロディーヌ・グラモンさん。

“1年のうち300日は晴れ”といわれるニースの美しい光と、花や木、そしてマルシェに並ぶ野菜などの鮮やかな色に、マティスはどれほど心を躍らせたでしょうか。

「彼は、モチーフそのものを描くと同時に、そこから受けた感情をも描きました。そして、人生における歓びのみを描こうと決意し、意思をもって実行したのです。それは、彼が自分の人生において切実に求め続けたものでした」

2024年、当館のコレクションを中心とした東京での展覧会が予定されています。

ニース市マティス美術館(ニース)アンリ・マティス 《サーペンタイン》1919年(手前)、
《ダンス(オストハウス三部作のための習作)》1907年(奥) ニース市マティス美術館 Musée Matisse de Nice


ニース市マティス美術館(ニース)

ニース市マティス美術館

Musée Matisse de Nice
164 avenue des Arénes de Cimiez
06000 Nice TEL:+33 4 93 81 08 08
https://www.musee-matisse-nice.org/

マティス展

2023年8月20日まで 日時指定予約制
東京都美術館
https://matisse2023.exhibit.jp/

絵画に加え、彫刻、ドローイング、版画、切り紙絵、ロザリオ礼拝堂に関する資料まで、各時代の代表的な作品を一堂に展示。





〔特集〕アンリ・マティス



01 アンリ・マティス希望の色と光

02 生誕の地 北フランス“灰色の地”で絵画に目覚める

03 創造の場 南フランス。色と光に出合う





この特集の掲載号
『家庭画報』2023年6月号



『家庭画報』2023年6月号


撮影/小野祐次 取材・文/安藤菜穂子 コーディネート/大島 泉 協力/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館 ポンピドゥー・センター 朝日新聞社 NHK NHKプロモーション アンリ・マティス財団(Succession H.Matisse)
『家庭画報』2023年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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