「きものを通して日本ならではの季節感や色彩感覚を学びました」
――歌舞伎俳優として活躍する一方、日本舞踊の吾妻流家元・吾妻徳陽としても活躍する中村壱太郎さん。
壱太郎「歌舞伎の衣裳は衣裳さんが用意してくれますが、日本舞踊の公演では舞踊家自身の持ち衣裳で踊ることも多いです。きもの独特の季節感や色彩感覚、選び方、着こなし方は、舞踊家の先輩である母から教わることが多いですね」
――そんなお母様、舞踊家の吾妻徳穂さんに、きものについてお話を伺いました。
吾妻徳穂さん「きものは舞踊家の私にとりましてはユニフォームのようなもの。中村鴈治郎の妻、中村壱太郎の母という立場で劇場でお客様にご挨拶する時には、少し控え目な色や柄を心がけています。公演の初日や千穐楽には紋のついたきものを着ますが、それ以外の日は少し季節に先駆けた柄の小紋などを着ることも」。
――3月の公演では桜の季節を前に、小米桜のきものに、桜の帯を合わせて。
吾妻徳穂さん「祖母の初代吾妻徳穂は桜が好きで、気が早く2月の半ば過ぎからもう桜のきものを着ておりました。亡くなる前には、ピンクの小米桜のきものを仕立て直した布団で休んでいたほどです」
――実際の桜が咲く前に着はじめ、4月になったら葉桜や八重桜のきものを着る。そんな贅沢なおしゃれを楽しむことができるのも、四季のある日本ならではかもしれません。
吾妻徳穂さん「最近は蚕の食べる葉から糸の質・染色の染料など昔とは違うので職人さんが技術を継承するのが難しい、といったお話もよく耳にします。歌舞伎や日本舞踊も同じですが、今の時代に伝統や技を次の世代に繋いでいくのは大変なことではございますが、継いでいかなければなりません。おきものも多くの方が日常的に楽しみながら着ることで、きものの文化が続いていくと良いですね」
歌舞伎座「歌舞伎座百三十年 三月大歌舞伎」
出演:片岡仁左衛門、坂東玉三郎、片岡秀太郎、中村東蔵、中村歌六、中村雀右衛門、大谷友右衛門、中村扇雀、中村芝翫、坂東彌十郎、中村錦之助、片岡孝太郎、尾上松緑、片岡愛之助、尾上松也、中村壱太郎、ほか
期間:2018年3月3日(土)~3月27日(火) 昼の部11時開演 夜の部16時30分開演
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