フィギュアスケート愛(eye)選
平昌五輪、涙腺崩壊のプログラム その4
松尾/アフロスポーツ羽生結弦選手のFS
「SEIMEI」206.17点
前回の「フィギュアスケート愛(eye)」でも書きましたが、平昌五輪の大会はまるで羽生結弦選手のために用意された舞台のようでした。
怪我をしているにもかかわらず、66年ぶりの連覇という男子フィギュスケート史上、永久に語り継がれる快挙を達成したわけですから。
SP「バラード第1番」の演技でも正直泣きました。氷上に羽生選手が戻ってきた、しかもすべてのエレメンツをほぼ完璧に決めて、美しく舞い滑るその姿に多くの方が涙していたと思います。
でも、さらにぐっと来たのが翌日のFSの演技でした。
SPを見て、エレメンツに関しては何の心配もいらないことはわかりましたが、不安だったのはただ1つ。SPより演技が1分半ほど長くなるFSで、最後まで体力を持たせることができるかどうか。
痛みは薬で抑えることができても、滑り込めていない分、体力的にはかなりきついはず……。もうあとは精神力にかけるしかない、と祈る思いでいました。
やはり後半に入るとスピードがやや落ちて、苦しそうな状況になってきましたが、魂でステップを刻み、ジャンプでバランスを崩しながらも何とか踏みとどまるその姿に、思わず声を出して応援していました。
連覇への期待とプレッシャーのかかるなか、ジャンプミスのリカバリーを冷静に考えて、トリプルアクセルからの2連続をとっさに3連続に変えるなど、質の高い構成を最後まで通せたのはさすがです。まさに王者の風格、涙腺を刺激する演技でした。