新しい豆から、淹れ方、アレンジまで 進化するコーヒーの楽しみ 第3回(全4回) 世界第4位のコーヒー消費量を誇る「コーヒー好き」の国・日本。身近な飲み物であるコーヒーが近年、進化・多様化しています。個性ある豆が現れ、精製や焙煎の技術も向上。クオリティの高いコーヒーに出合う機会が増えています。そんな今だからこそ知りたいプロの淹れ方や、新しいコーヒーの楽しみ方をご紹介します。
前回の記事はこちら>> 今の気分に合ったコーヒーを楽しむ。好みの味の見つけ方
豆の特徴を知り、好みの味に辿り着くための指標となるのが、パッケージに書かれたデータです。さらに、産地ごとの傾向もわかると、コーヒー選びがより楽しくなります。
知るほどおいしい! パッケージの読み方
1.生産国コーヒー栽培に適したエリアは北緯25度から南緯25度の熱帯・亜熱帯エリアで、「コーヒーベルト」と呼ばれる。代表的な産地と味の傾向は下段を参照。
2.生産地域コーヒーの味を決める要素には、ワインのように「テロワール」、つまり栽培地域の特性も深くかかわってくる。
3.標高コーヒーの生育においては、昼夜の適度な寒暖差が必要となる。品評会では標高1000~2000メートルの間で栽培されたものが高評価を受けることが多い。標高が高いと酸味や甘みが強く、低いとマイルドで芳しい傾向がある。
4.農園スペシャルティコーヒーやそれに次ぐプレミアムコーヒーは生産地や農園が特定されており、個性的な味わいが楽しめる。
5.品種普段飲まれているコーヒーのほとんどはアラビカ種。その中でさらにティピカ、ブルボン、ゲイシャ、カトゥーラといった細かい品種に分けられる。この品種名がスペシャルティコーヒーの銘柄名となっていることも多い。
6.精製・精選方法/生産処理コーヒーチェリーから豆を取り出す工程。味を左右する。コクや香りが際立つナチュラル、クリーンで繊細なウォッシュト、その中間のパルプドナチュラル(ハニープロセス)の3つが代表的。
7.ロースト/焙煎焙煎が浅いほど酸味が強く、深いほど苦みが強くなる。日本では浅煎り、中煎り、中深煎り、深煎りと呼ばれ、さらに細分化するとライト→シナモン→ミディアム→ハイ→シティ→フルシティ→フレンチ→イタリアンの8段階に分けられる。
8.焙煎日世界のコーヒー味巡り
●タンザニア「キリマンジャロ」は日本でも古くから知られる。強い酸味と適度な苦みでバランスがよい。焙煎の深さで味わいが変わるのも特徴。
●ケニア世界初のコーヒー研究機関を設立し、欧州では一級品として高値で取り引きされる人気産地。酸味が強く、果実の風味が豊か。
●エチオピアコーヒー発祥の国といわれ、「モカ」が有名。近年注目の高級品種「ゲイシャ」もエチオピア原産。花や果実のような芳醇な香り。
●コスタリカ小規模農園による高品質な豆が近年評価を得ている。ハニープロセスを確立し、濃厚な甘みとフルーティさを引き出している。
●ジャマイカ厳しい管理のもとで栽培、輸出される高級豆「ブルーマウンテンコーヒー」は、調和のとれた味と香気、なめらかな喉ごしが魅力。
●インドネシア「マンデリン」が有名だが、その他にもエキゾチックな風味を持つ豆が増えている。独自の生産処理方法「スマトラ式」がある。
●ハワイキリマンジャロ、ブルーマウンテンと並び、世界三大コーヒーと称される「コナ」は、爽やかな酸味とまろやかな甘い香りが特徴。
●グアテマラ2000年代のスペシャルティコーヒー市場を牽引した産地。柑橘果実の酸味とチョコレートのようなコクがあり、バランスがよい。
●コロンビア太平洋とカリブ海に面し、地域によって気候が異なるため、味わいのバラエティも豊か。高品質豆「エメラルドマウンテン」が有名。
●ブラジル世界最大の生産国で、日本の輸入量もトップ。酸味が少なく、コクのあるマイルドな味わい。飲みやすいので入門コーヒーにも最適。