365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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プロのガーデナーさんに絶大な人気のペンステモン‘ハスカーレッド’。茎の黒さにご注目ください。葉もこのあとさらに黒くなります。■属科・タイプ:オオバコ科の宿根草
■花期:6月〜7月
■草丈:10〜100cm
プロのガーデナーさんから圧倒的に支持される品種は?
4月中旬〜6月くらいまでが花期のキンギョソウと入れ替わるように、同じオオバコ科のペンステモンが咲き出します。個性的なベル形の花がよく似ているため、
キンギョソウと間違えがちですが、この時期から咲き始めるのはペンステモンと覚えておいてください。
ペンステモンはとても種類豊富で、草丈の低いものから高いもの、またさまざまな花色があります。そんな中、このところどの観光ガーデンを訪ねても必ずといってよいほど見かけるのが‘ハスカーレッド’という品種です。茎も葉もつやのある黒紫で、白からごく淡いピンクの花を咲かせます。
「華やかな花色ばかりを追いかけがちだけれど、その中にシックな花があることで、メリハリがついて素敵な景色が生まれるんです。その意味で、ペンステモン‘ハスカーレッド’はまさにぴったりの品種です」。
そう教えてくれたのは長野県にある観光ガーデンのガーデナーさん。なるほど、シックな茎葉を背景に咲く淡い色の花はとても美しく、また、花が咲かない時期でもカラーリーフとして、ダークな色彩がいい感じに花壇の印象を引き締めてくれます。比較的新しい品種の‘ハスカーレッド’がまたたく間に人気になった理由もよくわかります。
最近では高温時により葉色が濃く出て、‘ハスカーレッド’より花色のピンクが濃い‘ダーク タワーズ’も観光ガーデンでよく見かけるようになりました。カラーリーフではないものの、鮮やかなピンク色の花がインパクトのある‘ガーネット’や、ライラック色の花が涼しげなペンステモン・スモーリーなどもよく利用されています。
プロのガーデナーさんが好んで使うペンステモンは、どの種類も上品でしゃれた印象があり、さすがプロの選択眼は違うなと感じます。いずれの種類も苗は手軽に入手でき、外周りの花壇で咲かせているお宅もあるので、散歩道でしゃれたペンステモンを探してみてください。
白〜淡いピンクの花が咲く‘ハスカーレッド’と、ピンクの花色が濃い‘ダーク タワーズ’。ペンステモンの人気品種を組み合わせて植えた植栽がとても素敵!栽培の難易度
暑さには強いものの、多湿に弱いので、日当たり、風通しともによく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりしたら、その後は雨まかせでかまいません。追肥の必要もありません。日照が足りないと花が咲きにくいため、芽が混み合ってついている箇所は少し透かすように摘み取ります。花茎全体の花が終わったら、花茎の根元からカットし、黄色くなった下葉も取り除きます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。