365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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シルバー色の花茎に、涼しげなレモンイエローの花を並び咲かせる‘ポーラーサマー’。草丈が高く、株周りも大きくて存在感があり、観光ガーデンでよく利用されています。■属科・タイプ:ゴマノハグサ科の宿根草、または二年草
■花期:6月〜7月
■草丈:10〜200cm
存在感抜群!長い花穂に花が並び咲く姿が魅力的
バーバスカムといっても、どんな花かすぐに浮かばないかたも多いと思います。バーバスカムは世界に約300種類あり、草丈も花の咲きかたも種類によってかなり異なります。その中には見たことがある種類もきっと混じっていると思います。
たとえば、バーバスカム・サプサス。和名をビロードモウズイカといいますが、日本各地で野生化し、空き地や線路脇などで、大きな葉を広げ、この時期には花茎を長く立ち上げて黄色の花を咲かせます。
このビロードモウズイカによく似ているのがバーバスカム・ボンビッシュフェルムの園芸品種‘ポーラーサマー’で、これはイギリスの庭でも、日本の観光ガーデンでもよく利用される花です。この時期に観光ガーデンを訪ねると「どこで咲いてる?」と探しまわることなく、すぐに見つかるはずです。
草丈は120〜160cmほどあり、ビロードモウズイカよりさらに大きなシルバーリーフで、レモンイエローの花を穂状に咲かせる姿は存在感抜群。近寄ると「おおーっ!立派に育ちましたねー」と思わず声をかけたくなるほどです。
プロのガーデナーさんがこの品種を好んで使うのも、その存在感が魅力なのだと思います。しかも、葉や茎は繊細な産毛に覆われたシルバーカラーなので、大きさのわりに軽やかな印象で、植栽に加えたくなるのも納得です。
パステルカラーのミックス品種‘サザンチャーム’のひと色。淡いアプリコット色の蕾から淡い黄色の花が開きます。紫色のしべとの組み合わせがしゃれています。さて、存在感のある‘ポーラーサマー’とは異なる魅力のバーバスカムもあります。バーバスカムにはパステル調のとてもかわいらしい花を咲かせる種類も多くあり、その中から私のお気に入りの2品種をご紹介します。
1つは‘サザンチャーム’という交配品種で、サーモンピンクやクリーム色など、魅力的なパステルカラーの花が穂状に咲き並びます。しべの色とのコントラストも美しく、見かけるとアップで写真を撮らずにはいられません。
もう1種は‘ウエディングキャンドル’で、花は少し小さめながら、淡いクリーム色に濃いピンクから紫色のしべという色合わせがとてもエレガントな雰囲気。どちらもタネからでも比較的容易に栽培できるので、庭で咲かせているお宅もあると思います。
散歩道で、かわいらしい花が並び咲く長い花穂を見かけたら、スマホでバーバスカムと検索してみてください。
栽培の難易度
耐寒性、耐暑性ともに強いのですが、蒸れには弱いので、過湿にならないようやや乾燥ぎみに管理するのがポイントです。日当たり、風通しがよく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりしたら、その後は雨まかせでかまいません。花は下から徐々に咲いていくので、終わった花がらから順次摘み取ります。先端の花が終わったら、花茎ごと切り取ります。草丈が高くなる種類は、倒伏防止のために支柱を立てておきます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。