365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ムラサキツユクサ
ムラサキツユクサの花弁は3枚。明るい紫色に黄色のしべがよく映えます。花は1日で萎みますが、晴れの日は早く萎み、雨や曇りの日は夕方まで咲いています。■属科・タイプ:ツユクサ科の宿根草
■花期:6月〜7月
■草丈:50〜80cm
この花の鮮やかな色を見られるなら、雨の日の花散歩も楽しい!
梅雨の時期に澄みきったブルーの花を咲かせるツユクサは、皆さまよくご存じだと思います。今日ご紹介するのは、そのツユクサによく似た花、ムラサキツユクサです。「えっ!この花よく見かけるけど、ツユクサじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、同じツユクサ科でも属が異なる別の植物なのです。
ムラサキツユクサは北米産のトラディスカンティアがさまざまな種類と交配した植物です。トラディスカンティアは観葉植物としてもおなじみですが、ムラサキツユクサはそれとは異なる種類です。
植栽に加えられたムラサキツユクサ。花色がパッと目立つだけでなく、スマートな葉の動きが植栽に変化をつけます。ムラサキツユクサという名前ですから、花色は紫系が基本ですが、青紫、紫、赤紫、さらに白花、と花色があります。観光ガーデンでもよく利用されていて、梅雨の時期に訪ねると、雨に花弁を傷めることなく、鮮やかな花色で花壇を彩っています。花は1日で萎んでしまいますが、次々と開花するので長く楽しめるのも魅力です。
また、スマートな葉がたっぷりと茂る株姿も美しく、花が終わったあともグラス類のように花壇に緑をもたらしてくれます。
さて、ツユクサとの見分け方ですが、まず、花弁の枚数をチェックしてみてください。どちらも3枚なのですが、ツユクサは1枚が雄しべの下にあるため花弁は2枚に見えがちです。
また、葉の長さはムラサキツユクサのほうがずっと長いので、見分けがつくと思います。雨に濡れた花や葉のみずみずしい色合いがとても魅力的なので、雨の日のお出かけの際に探してみてくださいね。
栽培の難易度
耐寒性、耐暑性ともに強く、丈夫で育てやすい性質です。日なた〜明るい日陰まで植えられます。水はけのよい土壌に元肥を施して植えつけ、たっぷり水やりしたら、その後は雨まかせでかまいません。萎れた花は早めに摘み取り、早く咲き終わったら花茎を切り戻すと、枝分かれしてまた花が咲きます。花後に伸びすぎた葉を刈り込んで株姿を整えます。半常緑性で冬にも葉をつけたままのこともあります。成長期の3月〜5月に緩効性肥料を追肥すると花つきがよくなります。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。