がんまるごと大百科 第6回【治療の選択編】(02) がんと診断されたとき、納得して自分に合う治療法を選ぶためには、情報収集や医療者とのコミュニケーションが大切です。治療の選択にかかわる重要なポイントを国立がん研究センター がん対策情報センター本部の若尾文彦先生に伺います。
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若尾文彦先生(わかお・ふみひこ)国立がん研究センター がん対策情報センター本部 副本部長。横浜市立大学医学部卒業。1988年、国立がんセンター中央病院に入職。放射線診断部医長、がん対策情報センターセンター長などを経て、2023年より現職。信頼できるがん情報の発信と普及、がん対策評価などに取り組む。疑問点は、主治医やほかの医療者に遠慮せずに聞く
病状を知ったところで、主治医に標準治療の中でも自分に合う治療法(1つの進行期に複数の標準治療があることが多い)、そのメリットやデメリット、治療にかかる時間、社会復帰できるまでの経過などを尋ねます。「国立がん研究センター がん情報サービス」に患者からの質問例が出ています(
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がんや治療法を知り、選択するには多くの情報が必要です。
「わからないことは患者さんの情報をいちばん持っている主治医に聞きましょう。療養生活に関しては看護師や医療ソーシャルワーカーなどが力になります」。
インターネットや書籍で検索するときには、いつ、誰が、どんな目的でその情報を掲載しているのかをチェックすることが大切です。
「がんの治療は急速に進歩しているため、少なくとも3〜5年以内の情報が目安です」と若尾先生。
「公的機関の情報が安心です。気になる情報は診察時に印刷して持参し、医師に尋ねるといいでしょう」。
気をつけたいのは患者さんの体験談です。
「医療者にはわからない患者さんの気持ちや生活上の工夫などが参考になります。ただし、治療については、同じがん種でも病状や性質に個人差があること、治療法も変化していることを念頭に置いてください」。
明日は、がんの治療の選択にあたって、主治医や医療者に伝えたいことについて、詳しく解説します。
イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ
『家庭画報』2023年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。