きものの解説は、記事の最後にある「フォトギャラリー」をご覧ください。母は、自らつけた芸名も「
きききりん」、 私の名前も「
ややこ」と、響きや数字が重なるのが、なにかにつけてお気に入りだった。ただ苦笑してしまったのは、結婚してずいぶん経ったころ、占いが得意な知人が私たち夫婦の相性を見てくれた際「あぁ、惜しい……この日に結婚していなければ、もっとマシだったのにねぇ……」と申し訳なさそうにつぶやいたこと。 信じる信じないは別として、もっと丁寧に日取りを考えればよかったかな、と自分の頓着のなさを幾ばくか後悔した。
ただ、思えばこれも内田家の風習らしいといえば、らしい。 私の両親は出会ってまもなく、意気投合した日に同棲を始め、結婚もいわゆるスピード婚だった。築地本願寺で
10月10日に、新郎新婦は誂えたばかりのそろいデニムのスーツで結婚式を挙げた。「直感と勢い」以外の何物でもない契りまでの道のりだったのだ。
せめて私たち夫婦は、もう少し慎重に熟慮の末の結婚だったと自分に言い聞かせたいところだが、そういえば夫のプロポーズも「できれば結婚するなら、互いに19歳と29歳という、ハタチとミソジという大台に乗る前のちょっとフライングスタートな気分で
試してみよう」で、 説得力があるんだか無いんだか、理屈より感覚が優先したものだった。
そこに追い打ちをかけて、母は娘に「そもそも結婚なんて勢いでするもの。考えたり計算したらできないわよ」と、 これまた未来ある若者へのはなむけの言葉としては、ずいぶん無謀なアドバイス!
きものの解説は、記事の最後にある「フォトギャラリー」をご覧ください。