きものの解説は、記事の最後にある「フォトギャラリー」をご覧ください。こうしてみると、まるで元も子もないようだが、私たち夫婦はかなりの荒波に揉まれつつも、 何とか漕ぎ出した船から大海にぎりぎり振り落とされることなく、航海をつづけているではないか。
あの28年前の「試してみよう」という言葉が、ようやく近頃、異なる趣を帯びつつある。 当時はいささか頼りない意思表明に感じたものだが、むしろ今となっては、夫の馬鹿正直な言葉選びを気に入ってきた自分に驚いている。
単なる怖いもの見たさかもしれないが、諦めずトライした先にしか見えない風景があるとすれば、それがどんなものかちょっと見てみたくなってきた。この覚悟の順番があべこべな心の呟きが、後に「あーあ、あんなこと言ってたのにね」と、まやかしになりませんように。
母と娘の新たなる邂逅 内田也哉子の「衣(きぬ)だより」
撮影/森山雅智 きものコーディネート・着付け/石田節子 ヘア&メイク/EITA〈Iris〉 着付け/杉山優子 構成・取材・文/樺澤貴子 撮影協力/グランドプリンスホテル高輪 貴賓館
『家庭画報』2023年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。