今、会いたい名医に聞く 米倉涼子の「気になる医学」 「40代は女性にとって人生の大転換期」と語るのは、温かみのあるわかりやすい語り口でおなじみの産婦人科医・高尾美穂先生。最新出演作『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』が好評の米倉涼子さんとは初対面でしたが、同世代で同じくB型のお二人はすぐに意気投合。女性ホルモンをめぐる心得から今後の生き方まで、深いやりとりをお届けします。
記事一覧はこちら>>> 「婦人科はやっぱり女医さんに診ていただけると、分かち合えて安心します」と米倉さん。撮影の合間にも、生理痛と更年期症状の関連やエストロゲン様作用のサプリの話に、花が咲いていました。〔米倉さん〕ジャケット21万8900円 パンツ15万9500円 靴15万4000円/すべてボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン) ピアス38万5000円リング9万5700円/ともにヒロタカ(ヒロタカ 表参道ヒルズ)
高尾美穂先生(産婦人科医、女性のための統合ヘルスクリニック [イーク表参道]副院長)
高尾 美穂(たかお・みほ)愛知県出身。東京慈恵会医科大学大学院修了。同大学附属病院産婦人科助教などを経て2013年より、女性のための統合ヘルスクリニック[イーク表参道]副院長。医療・ヨガ・スポーツの活動を通じて専門知識をわかりやすく発信。YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」では、心身健やかに過ごすヒントを癒やしの声で届けている。『いちばん親切な更年期の教科書』(小社刊)など著書多数。●座右の銘/「すべての女性によりよい未来を」 米倉さんから見た高尾先生の印象→「同世代だからか話しやすかったです。前向きなエネルギーがおありでいいなあと思いました。とても勉強になりました!」
閉経を挟んで10年続く更年期という揺らぎの時期
米倉さん(以下敬称略) 初めまして。今日は女性読者代表として参りました。いろいろ教えてください。
高尾先生(以下敬称略) お会いするのを楽しみにしていました。体調を崩されていたとお聞きしましたが、大丈夫ですか。
米倉 そうなんです。2019年に低髄液圧症候群を発症しまして。2022年は再発したうえ腰痛もひどくなってしまい。体も思うように動かないし、仕事をキャンセルしなければならない申し訳なさで、かなり参りました。でも、何度目かのブラッドパッチ療法が効いたのか、この半年ほどでようやく回復の兆しが見えてきたところです。
高尾 それは本当に大変でしたね。
高尾先生から見た米倉さんの印象→「テレビで拝見していたときは直線的なイメージだったんです。姿勢もいいし(笑)。でも実際にお話すると曲線的な感情も豊かで、さらに魅力的。素直で好奇心旺盛な、賢い女性ですね」
米倉 あまりの痛みでつらかったとき、「これは病気から来ているのか、それとも更年期の影響がもう始まっているのか」と混乱したこともありました。
高尾 確かにほかの疾患と更年期症状の見分けがつきにくい場合も多いので、疑われる病気をしっかり検査して消去することが大切なんです。でもお聞きする限り、それは一般的な更年期症状ではないと思います。まず更年期、更年期症状・障害、閉経について簡単にご説明しましょう。
「更年期」というのは閉経の前後5年間ずつ、約10年間の時期のこと。女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量がアップダウンを繰り返しながら減少していくことで現れやすくなる不調が「更年期症状」。ホットフラッシュと呼ばれる異常発汗やほてり、不眠、不安感などが代表的です。
治療を受けないと日常生活に支障をきたすほど重い症状が現れる場合を「更年期障害」。12か月間月経がない状態が続いたら「閉経」となります。
米倉 更年期は10年間も続くんですね!
高尾 長いですよね。日本人の閉経年齢の平均は50.54歳なので、50歳で閉経とすると更年期は45歳から55歳まで。エストロゲンがある状態からない状態に慣れるための10年間ともいえます。
米倉 「更年期がなかった」とおっしゃるかたもいますよね。
高尾 心身の不調を感じるかたは全体の6割なんです。残り4割は月経周期が乱れてきたとか、気づいたら月経が来ていない、といった程度の変化で更年期を過ごされる。「更年期がなかった」というのは、「更年期障害がなかった」という意味でしょうね。