多様な嗜好に寄り添って
進化するスパークリングワイン
初夏のテラス、日差しの中で飲む冷えた泡は格別。フルーツとともに爽やかなひとときを。“泡”といわれたら、多くのかたはお洒落なシャンパーニュをイメージすると思いますが、シャンパーニュはワインの分類では、スパークリングワイン(発泡性ワイン)の中の一つです。
シャンパーニュと同じ製法の発泡性ワインは、フランスではクレマン。ドイツではゼクト。スペインではカバと呼ばれ、一次発酵を終えたスティルワインを瓶に詰め、糖分と酵母を加え密閉させて瓶内で再度発酵させて造る“伝統的製法”です。
近年、英国も高評価の発泡性ワインを多く世に送り出していますが、地層を見ると、シャンパーニュ地方と同じ白亜質がドーバー海峡を挟んで英国側の海岸まで続いているとわかります。
加えて、ぶどう栽培に適していなかった冷涼エリアが気候変動の影響で適地に変わってきています。
シャンパーニュに刺激され、世界屈指の泡を造り出す生産者や、食事に合わせ気楽に楽しめる泡を手がける生産者が増え、各国で魅力的なものが誕生しています。“まさに泡ワールド”。世界を舞台に躍動中です。
監修・取材・文/青木冨美子 撮影/本誌・坂本正行 料理/平野由希子 スタイリング協力/岩埼牧子
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。