佐々木さんが参拝の記念として大切に保管している御朱印帳。13年間で100冊ほどになり、現在も増え続けている。いちばん上が記念すべき1冊目で、右が三重県の伊勢の神宮・内宮、左が宮崎県の都農神社の墨書きと押印。鏡 神社には参拝者との間をつなぐ「御師(おんし)」という職業があるそうですね。
佐々木 御師は150年ほど前、国が廃止してしまいましたが、いってみれば神社の営業マンですね。各地へ出向いて神社の宣伝をし、参詣者の宿泊の世話などもしていました。
鏡 西洋でいうところの天使ですね。エンジェルの語源はギリシャ語のアンゲロスで、使者という意味なんです。
佐々木 そうなんですね! 僕も今は神社のことを伝えるのが使命だと思っています。5年前に数えてみたら、1万社以上巡っていました。
鏡 それだけ巡っていると、いろいろな気づきもあるのではないですか。
佐々木 いちばんの気づきは、神社は願いを叶えてもらう場所ではないということです。鎌倉幕府が発令した「御成敗式目」の第一条に「神様は人が拝むほど力が強くなり、その恩恵で人々は幸せになる」とあり、神社の修理やお祭りの大切さも記されています。ですから、まずは人が神様を元気づけること。神様は多くの人が参拝して活気がある状態に「宿る」というのが僕の理解です。
鏡 佐々木さんにとってのスピリチュアリティというのは、コミュニティの感覚なんですね。神様も共同体の一メンバーで、その共同体が活発化していくことが大事だということですね。
佐々木 おっしゃるとおりです。