神社は心を鍛える「ジム」
佐々木 僕は、神社でしている作法を日常に生かしていただきたいなと思います。鳥居で一礼する、参道の真ん中は歩かない、二拝二拍手一拝するといったことを心を込めて行うとき、神様が宿るからです。いくら神社で仕事の成功を拝んでも、肝心の商談の場でしっかりとお辞儀ができなかったら、うまくいきませんよね。神社で行うように丁寧に一礼すると、心の中がすっと整うのがわかるはずです。
だから、僕は神社は心のジムだといってるんです。突然「明日試合です」といわれて慌ててジムに行っても、筋肉はつきませんよね。日頃から鍛えていれば、いつでもいけますよ!といえる。
最後にもう一つだけ。コロナ禍で公共の場で必ず手指の消毒をするようになって気づいたのですが、手水舎があるのは、神社がコミュニティセンターだからなんですね。疫病を広げないよう、手と口をゆすいでから入ってくださいね、という。
鏡 「祓え給い、清め給え」と唱えますし、清浄性というのは、神道すべての大切な共通点かもしれませんね。
佐々木 神主さんの一番の仕事は掃除だといいますね。ところで「穢れ」が「気が枯れている」、つまり元気がないことを意味するのはご存じでしたか? 元気は元の気と書きますから、穢れを祓うというのは、普段のあなたに戻りましょう、ということなんです。
鏡 なるほど、日本人がよく使う「リセットする」や、最近よく耳にする「サウナで整う」にも通じますね。神社巡りも西洋占星術も、心を整えて豊かにすることに活用してほしいですね。
「選択肢が格段に広がった今、“ゆるやかな魔法”を日常に取り入れると生きやすいかもしれません」(鏡リュウジさん)「ジムで体を鍛えるように、神社で心を鍛えましょう!」(佐々木優太さん)※後編(7月3日公開)へ続く。
〔特集〕西洋占星術と神社巡りから学ぶ 現代の“魔法”
撮影/本誌・伏見早織 取材・文/清水千佳子
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。