連載 おいしい漢方【8月】 国際中医薬膳管理師であり漢方アドバイザーの久保奈穂実さんが、8月を健やかに過ごす養生の知恵と、疲れを癒すおいしい漢方レシピをお届けします。「養生」とは、病気になる前の「未病」の段階で体を整え、病気を未然に防ぐという中医学の考え。今日から無理なく、簡単養生&漢方生活を始めませんか? 読むだけで薬膳漢方の知識が身につく『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(世界文化社)から一部を抜粋してお届けします。
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文・久保奈穂実(くぼ・なおみ)そろそろ二十四節気の「立秋(りっしゅう)」の頃。まだまだ暑い日が続きますが、暦の上では秋です。
中医学の古典には、秋の養生として「鶏のように早寝早起きをするとよい」と書かれています。
また、秋は体が乾燥し、潤いが奪われる「燥(そう)」の季節。夜ふかしをしていると潤いを補えず、カサカサ乾燥肌になってしまいます。今のうちから少しずつ早寝を心がけ、乾燥対策をしておくことも、秋を快適に過ごすため、そしてエイジングケアのためにも大切です。
・汗で失われた潤いをトマトで補おう
夏も汗で体液が失われるので実は乾燥しがち。手足がほてったり、寝汗をかくのは潤い不足のサインです。潤い食材を、潤す調理法でとってしっかり補いましょう。
おすすめレシピは、「はちみつレモン漬けトマト」。トマトは、潤いを補って乾きを癒す食材。はちみつの甘味と、レモンの酸味は、潤い効果増し増しの組み合わせです。ミニトマトのジューシーさとレモンのさっぱり感がマッチした、夏にぴったりの一品です。
【はちみつレモン漬けトマト】
1. ミニトマト1パックを湯むきする(爪楊枝でヘタの逆側をプチッと刺してから熱湯に入れ、氷水で冷ますとツルンとむけます)。
2. (1)をボウルに入れ、はちみつ大さじ1とレモン果汁大さじ1、スライスレモン適宜を加えて和える。冷蔵庫で少しおき、味をなじませる。
※ふつうのトマトでも作れます。
※お腹がゆるいときや、体が冷えているとき、むくみがひどいときは控えめに。
・乾物薬膳をとりいれよう
乾物でも簡単に養生ができます。
・むくんでいたら、昆布
・疲れていたら、かつお節
・冷えを感じたら、干しえび
・エイジングケアに、干ししいたけ
・髪をきれいにしたいなら、ひじき
・食べ過ぎや消化不良に、切り干し大根
乾物は、栄養価や甘味や旨味が凝縮されているうえ、体を冷やす作用が緩和され、保存性もいい優秀食品。不調や目的に合わせて乾物を活用してみてくださいね。
・湿熱タイプは虫に刺されやすい
一緒にいて、虫に刺されやすい人と刺されにくい人がいますよね。刺されやすい人には、湿熱(しつねつ)傾向があるとされます。
湿熱とは体に余分な水や熱がたまってベタベタしている状態。汗がベタベタ、髪や頭皮もベタベタしやすい。ニキビや吹き出物が出やすい。シャツの襟元や脇が黄ばみやすい。枕が臭う。舌苔が黄色くべったりついている。こんなタイプです。
脂っこいもの、味の濃いもの、甘いもの、アルコールなど、湿熱の原因になるものを控えめにして、海藻類やそば、葉物野菜などさっぱりしたものを増やしていくと、虫刺されの改善が期待できますよ。
・日々をワクワクさせる“推し活養生”のすすめ
漢方相談では、「推し」がいる人は幸せ感が強いように感じます。日常生活で少しくらい嫌なことがあっても、推しを見れば忘れられる。大変な仕事も、推しのライブや舞台に行くために頑張れる、などなど。
推しが人でなくてもいいと思います。好きと思える何かを楽しみとして、馬の鼻先ににんじんをぶら下げておくようなイメージで、日々ワクワクして過ごせますよ。
『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』
1760円(世界文化社)
疲れたとき、なんだか辛いとき、漢方の知識があれば自分で自分を癒すことができます。本書では、SNSで大人気の漢方アドバイザー・久保奈穂実先生(なおみん)が、1日1テーマ、365日、あなたの毎日に寄り添う漢方アドバイスをお届けします。身近な食材でカンタンに作れる「養生レシピ」113点、今すぐ実践できる「セルフケア」のアイデア252点、1日ひとつ読むだけで、季節ごとの不調が整っていきます。
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久保奈穂実(くぼ・なおみ)/なおみん国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人(2023年4月現在)。
イラスト/ニシイズミユカ