秋のケベックシティ、セントローレンス川を望む雄大な眺め。写真/Shutterstock 景色、文化、歴史をじっくり楽しむ。
カナダ・ケベックで、心を満たす贅沢な時間
カナダ10州・3準州のうち最大で、フランス語を公用語とするケベック州。北米大陸唯一の城塞都市、州都ケベックシティの旧市街はユネスコの世界遺産に登録されています。
世界的な紅葉の名所メープル街道の起点でもあるこの街のベストシーズンは、もちろん秋。紅葉に染まる美しい石畳の街を拠点にのんびり滞在しながら、カフェの顔なじみになったり、お気に入りの公園に毎日通ったり、自然豊かな近郊に足を延ばして小旅行したり。
人生を充実させてくれるカナダ・ケベックへの旅を紹介します。
生涯忘れられない
圧倒的な紅葉の景色に包まれる
ケベックシティを起点とするメープル街道。秋になると各地で見渡す限り紅葉したメープルの森が広がる。写真/jimfeng / ゲッティイメージズ メープル街道は、ケベックシティからセントローレンス川に沿って南下し、モントリオール、オタワ、オンタリオ州のトロントを経てナイアガラの滝まで続く、約800kmのルート。カナダ建国の歴史を象徴する場所が多く点在するため、カナダではヘリテージ・ハイウェイ(文化遺産の道)と呼ばれています。
メープルシロップの原料となるサトウカエデの自生地のほとんどがケベック州にあり、同州が世界のメープルシロップの約7割を産出することからもわかるとおり、いたるところにメープルの森が広がり、街中のそこかしこにメープルの樹が枝を伸ばしています。
秋にはケベックシティをはじめ街道沿いの各地が紅葉に包まれ、圧倒的な景色で訪れる人を迎えます。それは他の季節や地域では味わうことのできない、特別な喜びといえるでしょう。
北米唯一の城塞都市
ケベックシティで暮らすようにステイ
ケベックシティの街。美しく整備され、治安の良さも魅力。奥に見えるのがフェアモント・ル・シャトー・フロントナック。写真/Shutterstock 1608年にフランスの探検家サミュエル・ド・シャンプランが砦を築いたことから始まるケベックシティは、今もフランスの薫りがいたるところに漂います。
街のランドマークは、アッパータウンにある古城のようなホテル、フェアモント・ル・シャトー・フロントナック。130年の歴史を持つ名門ホテルで、日中は宿泊者に限らず多くの人が訪れます。格調高い回転ドアをくぐり、ひとときの歴史探訪を。温かみのあるエレガントな館内で、貴重なアンティーク家具や、かつてここに宿泊した著名人らの写真を目にすることができます。
優雅な気分に浸ったら、ケベックの暮らしを感じられる街中へ。
アッパータウンとロウワータウンを繋ぐ「首折り階段」。上り下りは慎重に。 ケベックシティの旧市街は、城壁に囲まれたアッパータウンと、石畳の通り沿いに小さなお店やレストランが立ち並ぶロウワータウンがあり、その間を「首折り階段」がつないでいます。“落ちたら首が折れてしまうくらい急な階段”という意味で、この名前で呼ばれているそう。
この階段を下りると、北米最古の商店街「プチ・シャンプラン通り」があります。石畳の小道には、伝統的なケベック料理を味わえるレストランやカフェ、ギフトショップ、アートギャラリーなどが並び、さまざまな出会いや発見に心が踊ります。
ケベックに暮らす人々のモットー「Joie de vivre(生きる喜び)」が息づく街。陽気な会話があちこちから聞こえてくる。 ケベックシティでは、のんびりステイしながら、予定を詰め込まず、街の空気に自分をなじませるような滞在を。
居心地の良いカフェを見つけたり、市街散策でふと立ち寄った公園の色づく木々に感動したり、馬車に乗って歴史を感じたり、時にはドレスアップして劇場やレストランに足を運んだり──。暮らすような楽しみ方ができるのが、ケベックシティ最大の魅力です。
人生を愛し、暮らしを慈しむケベコワ(ケベックの人々)になった気分で、錦秋を感じながら、自分だけの名所を見つけましょう。
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イースタンタウンシップスへ小旅行
メンフレマゴク湖のほとりに立つサン・ブノワ・デュ・ラック修道院。 セントローレンス川とアメリカとの国境とに挟まれたイースタンタウンシップスは、ケベックシティから車で約2時間40分。高原の紅葉が湖面に映る、美しく洗練された高級別荘地です。ケベックシティからの移動中にも、赤やオレンジに染まったメープルの森が視界いっぱいに広がります。
フランス文化が根付くケベック州にあって、ここイースタンタウンシップスは、アメリカ独立運動の際に英国王室に忠誠を誓った王党派が移り住んで開拓したという歴史を持っています。そのため、フランスとイギリス、そして近隣のアメリカからも多くの人がやって来て文化が混ざり合い、ユニークで洗練された雰囲気が漂います。
レストランを併設しているワイナリーも多い。 イースタンタウンシップスには多くの農園や果樹園があり、18軒のワイナリーをつなぐ通称「ワイン街道」もあります。豊富な地元の食材を生かしたフレンチカナディアン料理と地元のワインが楽しめるラグジュアリーなオーベルジュも点在しています。ケベックシティのホテルにスーツケースを預け、身軽な荷物で1〜2泊の小旅行をするにはもってこいのロケーションです。
同じ紅葉でも、その土地によってさまざまな秋の表情を見せてくれるメープル街道。ゆっくり時間を過ごし、地元の歴史や文化の奥深さ、ケベコワの温かさに触れることで、旅の思い出がより豊潤に積み重なり、カナダを第二の故郷として再訪したくなるに違いありません。